CREATE 1997/08/24

宇高国道フェリー

おれはフェリーが好きだ。 単車だと、出航ギリギリに駆けつけても乗せてくれることが多い。 道路という戦場 (?) から逃れて一時休戦。 疲れた身体を室内で休めてもいいし、 デッキに出て、生暖かいけど気持いい風に吹かれて、遠くを眺めているのもいい。

宇野-高松航路はよく利用する。 この航路は4社くらいが就航している。 おれは、もっぱら「宇高国道フェリー」を使っている。 どの会社を利用しても値段は同じなのだ。 でも、宇高でないとだめなのだ。

なにしろ、サービスが良い。
客がフェリーから下りるとき、車が下船口をゾロゾロと通過してゆく。 そのときに、鮮やかな色のパーサーの制服を着たオネイサンが、 下船口のところまで出てきて、車が通過するたびに頭を下げる。 当然ボクチンの単車にも頭を下げてくれるのだ。
どうってことないようだけど、嬉しくなっちゃうんだよ。うん。
また乗りたくなる、ってば、ちょっと大げさだけど、 宇野-高松航路を利用するときには、宇高を選んでしまう。

あと、宇高国道フェリーは24時間休みなしに出航している。

それから、フェリーのデッキ (でいいのかな? 要するに、屋上のことを言いたいのだが…) に「カラオケボックス」がある。 長距離航路では珍しくないそうだが、宇高は1時間くらいの道のりだから、 やっぱ、珍しいんだと思う。
おれは宇高国道フェリーに乗るときには、だいたいデッキで涼んでいるので、 カラオケボックスが見える位置にいるのだが、 1時間の間に、何組も、カラオケボックスの偵察に来る。
3人くらい入れるようなボックスで、いつでもカラオケスタンバイ。 ボックスの内部の設備はいつも通電されている。 もちろん灯かりも点いている。
しかし…カラオケボックスを使っている人を見たことは一度もない。 9割くらいの人は、遠巻きに眺めて、キャッキャと言って下りてゆく。 残りの1割くらいの人は…扉を開けたりする。 しかし、首を突っ込むか、せいぜい上半身を乗り込むくらい。 腰以上をボックスに侵入する人は皆無だ! なぜだー。

宇高国道フェリーのファンなんてそれほど多くないと思っていたのだが、 四国の話をしていると、宇高のことを知っている人が多いのに驚く。
先輩で、高知方面に釣りに行ったとき、帰りに台風かなにかに巻き込まれて、 帰るに帰れなくなったという人がいる。
次の日に会社に行かなければならなかったので、 どうしても海を渡りたかったのだが、 台風ではどこのフェリーも出航を中止していた。
同じような境遇の人達が、 車でフェリーの船着場をウロウロするような光景が広がっていた、ということ。
そうこうしているうちに、車の流れに変化が現れた。高松に向かう車が増え始めた。 先輩は、その動きをキャッチして、高松港を目指した。
高松港を目指しながら、 「そうか、宇高が動いているに違いない」と思ったそうである。
そして、その推測は事実だった。
宇高国道フェリーは、台風のなか、軒なみ出航を中止する中、 唯一出航したのであった!!

ところで、国道フェリーというのは、この宇高以外にもいくつかあるようだが、 「国道フェリー」という名称は、「国道の延長」を意味するものであった。
国道が海を隔てて向こう側とこちら側に延びている場合、海の中の国道を補間 するものが、国道フェリー、というわけだ。
ということは、国が経営しているのだろうか?
24時間営業というのも納得。 なにしろ、国道なのだから、通れない時間帯があるとマズイ。
(しかし、24時間営業ではない国道フェリーもある。よくわからない)。