CREATE 1998/05/14

四国・九州ツーリング (22)
第5日目 (1998/05/03 Sun)


川内

砂むし温泉を出たら、18時近くになっていたので、 そろそろ今夜の宿泊を考えないといけません。
でも、今日は天気も良かったし、野宿をしてみようと思いました。 今回のツーリングは、一度は野宿をしようと思って、 シュラフを持ってきていたのですが、天気の都合とか体調とか考えて、いままでそれに適した日がありませんでした。 明日は最終日なので、休み明けのことを考えて、ちゃんと宿泊したかったので、残すは今日しかありません。
ちょうど天気もよいので、バッチリです。
明日は、朝から天草に渡る予定なので、 天草に渡るフェリーの手前あたりで宿泊ということになります。
川内あたりがもっとも適当そうですね。
というわけで、川内に向かって国道を走り始めました。

ところが、枕崎で異変が起こりました。
スピードメーターが動かなくなってしまいました。
当然、スピードがわからないし、距離の積算ができないので悲しいです。
今度、適当な場所で停まって、見てみよう。

枕崎から鹿児島の西海岸沿いの R270 を北上し、 加世田市の農協で停まりました。 農協と言っても、スーパーマーケットみたいな店舗があって、7時半なのにまだ営業していました。 ここでトレーナーを着込みます。

そのあと工具を出して、メーター回りを見てみました。 なんと、ワイヤーが切れてしまっていました。
応急処置では直りそうにありません。 まだ鹿児島の南端だというのに、スピードも距離もわかりません。
まあ、エンジンが動かないわけじゃないから、 何とかなるといえばなるのですが…。
幸いにも、燃料計があるので、 ガソリンの給油タイミングだけはわかりやすくて良いです。 いつも、燃料計なんか要らないから、水温計が欲しいなどと言っていたのですが、 初めて燃料計が役に立ちます。 でもまあ、燃料計などなくても、 ガソリンの量なんて、タンクを開けて見たら、一目瞭然なんですがね (…と強がってみる)。

スピードメータをみていたら、 農協で買物をしていた地元の人が話しかけてきました。
奥さんのおなかが大きいから、ツーリングなんて行かせてもらえない、 ということで、しきりに羨ましがっていました。
その人と、今夜の宿泊について話したのですが、 道の駅阿久根には、仮眠室があるので、 いつでも眠れていいぞー、ということでした。
わたしは川内の、駅付近で考えていたのですが、道の駅も悪くないと思い、 阿久根まで行ってみることにしました。

結局、スピードメータは応急処置では直りそうもないので、 これから姫路までスピードメータとトリップメータなしの生活です。
スピードメータが見えないことの弊害としては、 スピード違反の対策が立てられないのがいちばん厳しい。
でも、タコメータがあれば、スピードはある程度わかります

原理的にはギアが同じ場合には、エンジンの回転数に一定の数値を乗じればスピードになるわけですが、乗じる数値が単純だとよいのですが、そううまくいかず、計算がややこしくなってしまうので、 別の方法を考えないといけません。
まあ、タコメータにスピードの目盛りを張り付ければ良いのでしょうが、 面倒なのでやりませんでした。 (乗じる数字がわからないと作れないし…)。

で、どうしたかというと、

一般道 回転数を20倍して10引く
高速道 回転数を20倍して20引く

という方法で計算しました。この場合、6速であることが条件です。
Bandit の場合、低速ギアはあまり使わなくても充分走れるので、 これでなんとかなります。

たとえば回転数が 5000rpm の場合 (文字盤には 5 と書いてあるので)、

5 * 20 - 10 = 90

で 90km/h ということになります。

実際、そのような方法で出た数値が、 実際の速度とどれだけ近いのかはわかりませんが、 なかなかいい線をついているのではないかと思います。

大事なのは、正確な速度を求めることではなく、自分があるスピードで走行している、ということを信じることではないかと思います (やや暴論)。
信じる者は救われる。

川内まで相当あったのですが、阿久根となると更に遠い。
この道はみんなけっこう飛ばしているので怖い。
怖いというよりも、 寒いので、あまり飛ばしたくなかったというのが真相ですが…。
阿久根まではけっこう辛かったですね。

加世田で話した人によると、道の駅阿久根は、大きいからすぐにわかるよ、 ということでしたが、実際は、道の駅阿久根はそんなに大きくありませんでした。

単車を降りて、施設内をうろうろしてみたのですが、 仮眠室らしきものはどこにもありません。
そういえば、トイレの横にあった、と言っていたような気がしました。 それで、確かめてみると、…締め切りでした!
しっかり鍵がかかっていました。
中を覗いてみたら、販売機とか、椅子とか机とか、 そういうものがいっぱい置いてあります。 チキショー、これだよー! 締め切りじゃんかー! ウソツキー!
でも、ま、仕方ないですね。

加世田の彼が知っていた仮眠室というのは、 はじめから深夜になったら締め切るものだったか、あるいは、最近、治安が悪いので、締め切ることにしたのかも知れません。
道の駅阿久根は海に面していて、建物の裏側に回れば海の音が聞こえて、 ヒジョーに良いです。真っ暗で照明もなにもない、通路のようになっていました。

ここで海の音を聞きながらシュラフで眠るという手もあるのですが、 暗いとは言え、虫がいっぱい飛んできそうだったし、人が入ってくるかも知れないので、やっぱ、やめておくことにします。

結局、川内方面に戻ることにします。
今日はあまりにも寒いので、トレーナーまで着込んでも寒いです。 だから、レインウェアを着てみました。

途中、鹿児島本線の西方駅に寄ってみました。
ここは無人駅だし、10時頃に最終電車が行ってしまうので、 良さそうとも思えたのですが、蛍光灯に虫が集まるし、 ツバメが巣をつくっていて、たまにヒューッとツバメが飛ぶので、やっぱ、落ち着けません。
既に最終電車が通過して30分以上経ったあとだったのですが、 駅の照明は点いたままですが、さらに時間が経ったら消えるのですかね。
ペンライトを持っていたし、自動販売機が近くにあるので、 照明がなくなっても困りはしないのですが、不安ではあります。
やっぱ、ここは却下ですね。

結局、川内駅まで来ました。 川内駅では、11時台まで電車が残っていますが、本数は少ないです。深夜1時頃に夜行列車が停車する関係で、 駅は営業しているが、客が少ない状態が続きます。
わたしは駅の待合室で寝ていました。 誰も通らないし、駅員が来るようなこともないので、過ごしやすいですね。
やがて、夜行列車、正真正銘の最終電車が通過したあと、 駅員がやってきて、「閉めますよー」ということなので、待合室を退散しました。

結局、駅前のバス停のベンチで寝ることにします。
ここは屋根も付いているし、駅前の照明があって、照明には困りません。 それでいて、バス停付近は暗いので、 虫は明るい方に行ってしまってくれました。
人通りもほぼゼロです。
比較的近くに、酒を扱っているファミリーマートがあったので、ビールの調達もOKでした。

わたしは単車をベンチの近くに移動して、シュラフを準備し、ベンチで眠りはじめました。
今日はヒジョーに寒いので、シュラフがないと、けっこう辛いです。
しばらくすると、ひとりのバックパッカーが近付いてきたので、 ちょっとだけ喋ったのですが、彼も野宿ということでした。 ちょうどバス停にはベンチが2つあったので、彼はそっちに寝ていました。
彼は電車の旅ということでした。
喋った感じからすると、高校生なのかも知れません。
彼はシュラフも何も持参していなかったのですが、 「大丈夫です」ということなので、わたしは安心して眠ってしまったのですが、 次の日、早朝、寒くて目が醒めたら、彼はすでにいなくなっていました。
まあ、なんとか生きてうまくやっていることでしょう。
わたしは、もう少しだけ眠って、結局、起床は5時半になりました。
すぐ近くを女の子が通ったので目が醒めました。 いかん、早く出発しなければ…。

久しぶりの野宿は快適でした。 熟睡できました。
朝方は、かなり寒かったです。 昨夜はこの季節にしては、非常に寒い日だったような気がします。
でも、目覚めはすっきりパッチリです。

つづく