CREATE 1997/09/04

木曽ツーリング1日目

えっと、ゴールデンウィークに木曽に行ってきました。
木曽というと、普通の人は、 「木曽にいったい何があるの?」って感じなのでしょうか?
「木曽ってどのあたり?」と聞かれたこともありました。 まあ、観光地としてはマイナーな部類にはいることは間違いなさそうです。
おれにとっては、3000m 級の山がいっぱいあって、 中山道の情緒がたっぷり残っていたりするので、 木曽はすごく魅力的なところなんですけどね。

えーと、今回は、買ったばかりの SUZUKI Bandit 400V ででかけるということで、期待と緊張の入り混じった気持ち。
慣らしをおこないながらのツーリングになる。

今回、山をいくつか登ってみたいと思ってでかけたのですが、 木曽エリアに入ってぶっとびました。
あんなに雪が積もっているとは思っていませんでした。
見積りが甘ーい!
中央高速のPAで雪深い山々を見つめながら、幸せな気分を味わいつつも、 明日からどうやって過ごそうかなという不安も感じていた。


1日目:甲斐駒ヶ岳エリア

姫路〜米原〜岐阜〜恵那〜韮崎
〜南アルプス街道〜夜叉神峠〜丸山林道〜十谷温泉〜金沢林道〜伊那
(西宮〜米原 [3200円], 恵那〜韮崎 [3600円], は高速道路使用。 軟弱ですって? いえ、時間をかせぐためです)。

「なんで木曽ツーリングやのにいきなり甲斐やねん! という突っ込みもあるでしょうが、気にせず進んでしまいます…。


夜叉神峠

木曽エリアに入って、日本アルプスが雪まみれになっているのを見て、 登山はかなりヤバイなと思っていたわたしであるが、それでもあきらめずに進む。
雪もそうだが、甲斐駒エリアは、道が閉ざされていて進めない可能性が大きかった。 案じるよりも、行ってみて、それから考えればいい。

どんどん山へ進んでいく。 登山客らしい車はぜんぜん見えない。 トラックがやたらと多い。
トラックは、道路にまらまかれた砂を巻き上げながら、 ものすごい勢いで走ってゆくので、すごく気分が悪い。

ずっと山奥まで進んでゆく。夜叉神峠のところに、夜叉神ゲートというのがあって、 有人で通行を規制していた。
トラックはそこを通過していた。 どうやら、先の方で道路工事が行われているようだ。
一般車両は通行止となる。
ゲートのあたりには駐車場があり、車が何台かとまっていた。
おれもそこで停車して、今後の戦略を練る。
ゲートの横の案内板を見たが、単車であろうとも通行はできそうもなかった。
ゲートの番人であるおじさんに、なにか聞けるかなと思って、話しに行った。 ゲートは車はダメだけど、徒歩だったら通っていいよ、ということだった。
トンネルを4つ抜けると、北岳の見えるすばらしい展望に出るよ、ということである。
どうせ、今日は、ここに来る予定だったので、徒歩で行ってみるかー!

その道は、普通の山道なのであるが、工事のためか、トラックがときどき猛烈な 勢いで走ってゆく。
すこし歩くと、トンネル出現。 トラック1台がやっと通れるくらいのトンネル (当然、すれ違いなど不可能) だった。 こんなトンネルを歩いて通ってもいいのかー、と思ったが、人が歩けるような側道は見つからない。トンネルの入口のところに「徒歩者あり注意」と書いてあったから、通ってよさそうである。
よさそうではあるが、ほんとに大丈夫かよ。 トンネルに入ってみて、思ったよりキツイことが判明。 トンネルは 1km くらいありそうだし (あとで地図で確かめたら、1.2km もあることが わかった) 、照明が10箇所もなくて、その真下では足元くらいはぼんやりと確認できるが、照明からちょっと離れたら、地面があることすら確認できない。
雨のため、地面には水たまりがあるし、トラックの落した小石などもある。 なによりも、トラックが通過するときが怖いのだ。轟音が聞こえたらトラックを確認して、運転手から見えやすいようにしながら、壁に張りつく。怖い。排気ガスを入れ換えるような設備もないから、トンネルの中の空気はひどく汚れている。巻き上げる/積荷から飛び散る砂ボコリ。最悪。

そのトンネルを抜けるまでに、ダンプと何台出会っただろう。 数台なのだが、やはり多い。
4つのトンネルを通っていくということだったので、うんざりしていたのだが、 あとの3つは、比較的短かかったので安心だ。
でも、帰りにまたあの長いトンネルを通って行かなければならないので、 ヤになる。 4つのトンネルを抜けて、展望が開けた。天皇陛下がここから景色を御覧になったとの看板がある。北岳がそびえる。雪でいっぱいである。 とてもじゃないが、登山どころではない。 甲斐駒ヶ岳はここから見えていないのかも知れない。
もっと単車で進みたかった。

Tunnel
トンネル

林道に入りコケる

登山はできないので、今日は温泉でも行こう! そうそう、時間もあるし、 林道を攻めよっかなー。

……かくして、雨上がりの金沢林道に入り、買ったばかりの単車でコケて、 単車も全身も泥まみれになった。

やー、金沢林道は、けっこうぬかるみが多くて…、林道に行くのも久しぶり だったし…、調子よかったから 40km/h くらいで飛ばしまくってたんで…
えー、ブツブツ…。

その後、里におりて、現地の方にバケツと水を借りて、単車をきれいにして あげました。どうもありがとうございます。

あ、それから温泉にも行きました。温泉はいいですねえー。


伊那のバイク屋の兄ちゃんは親切だった。親切すぎてマイッたぜー

日が暮れてきたので、今日の宿泊地の伊那市に向かう。 コケて泥まみれになったから、おとなしく走っていたかというと、ぜんぜんそんなことはなくて、以前よりも増して攻めていたかも知れない。

走行距離が 1000km ちかくなってしまったので、早くオイルを変えたかった。
昼にオイルを変えようと思って、ショップを探したりしてみたのだが、 ほんと、いいオイルを置いている店がない。 ほとんどの店で、スーパーカブとかのオイルを入れようとするので、 これ入れるんだったら、 金属クズだらけのオイルを入れたままにしておくほうがマシかも と思ってオイルを入れるのをあきらめていたのだ。

伊那市街でよさそうなバイク屋を探す。 ヤマハのショップがよさそうに思えたので、オイルのことを聞いてみた。 そうしたらヤマハのSJがあるというので、 早速いれてもらうことにする。

「このオイル、1リットル 2000円するんだけど、いい?」 と聞かれて、内心ひきつりながらも平然を装って、いいですよーと軽く言う。
2.3 リットルくらい入るので、軽く 5000円を超えてしまうぞー。 下手すれば 6000円かな?
オイルを変えたあと、林道で泥だらけになった車体を、 高圧の水でキレイキレイしてくれた。 これで明日からまた爽快に走れるぜー。わん!

結局、請求は 4600円だった。オイル代しか取られなかった。わん!
5千円払って、おつりちょっと待ってね、と言われたまま、旅の話とか、 伊那の名物の話とか始めて、 おつりのことはすっかり忘れられてしまっているような感じだったのだが、工賃無料だったし、単車洗ってもらったりしたので、 おつり忘れられてしまってもそれはそれでいいやー、と思ったりもしていたのだが、けっこう経ってからおつりを持ってきてくれた。 奥で調達してくれていたみたいだ。

その後、話はかなり長く続いた。泊まっているホテルのこととか、 今日は何を食べに行くんだ?とか、飲みに行くならここがいいよ、と地図を書いてくれたり。
いやー、ほんと親切なのはいいのだが、食べるものとか、そのとき飲むものとか、 そのあとで行く飲み屋とか、そこでおれの名前を言えば良くしてくれるぞとか、馬刺を食べろとか、ヒジョーにこと細かで、マイッた。
このままイケば、
「よし、ちょっと待ってろ、おれが案内してやる」
と言わんばかりの勢いだったので、逃げるように帰ってきた。
(なんでおれが逃げなあかんねん!)。
あー、ひとりにしてくれー!


伊那名物のローメンを食べにいく

バイク屋の兄ちゃんに教えてもらったローメンの店に行く。 ローメンというのは主食だそうだから、ローメン食べたあと飲み屋に行くのは、胃の容量から言ってムリなように思える。 あと、ホテルの門限が異常に早かったというのもある。 でも、今日は眠いから、それくらいの門限があってよかった。
今日はいろいろなできごとがあって、おなかがいっぱいだ。
ローメンの大盛りを注文した。男は大盛りを頼むのが通常だという。 大盛りのほかに、大大盛りとか大大大盛りとかあった。
ローメンを食べながらビールを飲む。旅で疲れたあとのビールはおいしい。 ローメンは? うーん、おいしいというのとはずいぶん違う。変わった味である。
何日かたって、なんとなくローメンが食べたくなる、 というか、そういう類の味だ。

ローメンというのは、地元の人もみんな説明に困るようなのだが、 おれがわかりやすく説明してあげる。
要するに 「やきそばUFOの、麺がちょっと太めのやつを、 ちょっとゆですぎ気味にして、野菜とか肉の具がいっぱい入れたやつ」 である。 どうです? わかりやすい説明でしょ。

この店は、完璧にローメン屋である。
ローメン以外を頼むということは、 この店ではしてはいけないことのようであった。
もっとも、ローメン以外にメインで頼みたくなるようなモノは何も置いていなかったが…。

それにしても、この人の多さは何だ! この町にはローメン屋があふれている。すごく多い。 それなのに、このギッシリはなんなんだ?
ほとんど毎日来ていると思われる人もいた。

おやじさんにローメンの感想を聞かれたときに、おれは苦しまぎれに、「思い出した頃にまた食べたくなるような味ですねー」と言ったのだが、ほんとうはオセジにも「おいしい」とは言えないと思う。
珍しいから、というのはある。
でもおれは、一度食べたら、もうそれでいいや…。

でも伊那では、みーんなパンやごはんのようにローメンを食べている。 おれの味覚が狂っている、と言わんばかりの様子であった。うーん。

ところで、このローメンの店のおやじさんも、バイク屋の兄ちゃんと同じように、 どこに泊まっているんだ?
とか、けっこう具体的かつ細かに聞くんだよね。
うーん、伊那の人はみんなこうなのかー? あるいは、この店はバイク屋の兄ちゃんに聞いた店だから、 実は2人は飲み友だちとかで、けっこう交流が多い2人で、それで似てきてしまっただけかも知れないなあ…。

…いや、ローメンが原因という線も捨てがたい。

つづく