CREATE 1999/10/12

東北ツーリング9日目 (1999/08/14 Sat)


金華山

8時の船で金華山(きんかさん) に渡ろうと思って、急いで民宿を出ます。
ほんとに、島なのに金華山とは、どういうことなんでしょうね。 気になります。
金華山というのは、東北では恐山などのように霊力で有名なところです。
こりゃ、行くしかないでしょう。

昨夜は雨が降ると思っていたのに、結局、あまり降りませんでした。
今日になっても、依然として天気が悪く、いつ降り出してもおかしくないような天気です。

8時の船に間に合いました。 昨日のBMW乗りも朝から金華山に渡ると言っていましたが、 姿は見えませんでした。


金華山行きの船

天気が悪いので、波が高くて、船がメチャ揺れて怖いです。
東から風が吹いているので、船が波に逆らうように進んでいるのが原因でしょうか。
波頭から波の谷に向かって、船が「落ちる」ような感じなのです。
しっかり立っていられません。
わたしが乗った船は、けっこう大きいからまだマシなんだと思いますが、 近くに漁船が出ていたのですが、波間に完全に隠れてしまうほどですから、転覆しないのでしょうか。
ひとり、足を踏ん張りきれなくて、落ちそうになっている人もいました。
女の人で、怖くて泣いて、椅子にうずくまっている人もいました。
わたしは瀬戸内海以外の船はあまり乗ったことがないので、太平洋とか日本海の船だったら、 こんなのはぜんぜん平気なレベルなのかも知れませんが…。

金華山に渡ったとき、チャリンコ乗りのガイジンさん(女性)が、 チャリンコの横で佇んでいました。
メチャかっこいいです。
写真なくてごめんね。
朝一番の船に乗ってきたら、すでにそこに居たということは、 この島に泊まったんでしょうか。
ま、いいか。

港から金華山神社までは、すぐ近くなのですが、坂がきついのでバスが運行されています。
わたしは徒歩で上りましたが…。
途中、鹿が大勢いました。
けっこう大きなやつもいます。

金華山神社は、霊力が強いであろうと期待していたのですが、 それほどのことはありませんでした。
神社は立派な建物ではありました。

金華山神社から、山頂にハイキングロードがあるので、 それを上ってみることにします。
けっこう荒れていたし、今日は天候が悪いので、怖く感じます。
朝一番だったので、人があまり居ないので、なおさら怖いです。

ここまで上ってきたら、さすがに霊力は感じます。
しかし、それは山それ自体の霊力であり、これはそれほど珍しいものではないと思います。
途中、猿が群れになっているところがあり、こちらを興味深くうかがっている、 というようなこともありました。

それにしても、いつ雨が強くなってもおかしくないような天気になっていました。
雨の装備は大したものを持っていなかったので、大雨になる前に引き返そうと思いました。
そして、雨がだんだん強くなりそうになったので、引き返しました。
頂上までは、まだかなりありそうだったので、 結局どこかで引き返すことになりそうだったからです。

引き返す途中で、人とすれ違いました。
ちょっと話をして、わたしは下ったのですが、 彼ももうちょっと行って引き返すと言っていました。

下り続けていると、更にもう一人とすれ違いました。
「こんにちわー」と挨拶をしてすれ違おうとしたのですが、 何秒か後で、2人でほぼ同時に「あれー!」と驚きました。
あのBMW乗りでした。
これで、彼と会うのは4回目です。
彼も、もう少し上り続けてみると言っていました。

ちなみに、最初にすれ違った人は、新潟から、金華山だけを目的に、 車で走ってきたそうです。
これで目的を達成したので、もう帰途につくそうです。
金華山というのは、わたしは、東北に出てくるまで、 名前すら聞いたことがなかったので、わざわざ、 ここのために出かけてくるというのは、にわかに信じられませんでした。
彼が言うには、旅は、何でもいいから、目的を持ってするのがいい。 自分は、弁天さんに興味があるので、弁天さんを巡っているのだ。 そして、金華山の弁天さんで、日本3大弁天を制覇したことになるのだ、と言っていました。
なるほど、そういう人もいるのですね。
(ちなみに、金華山の弁天さん、というのは、金華山神社の脇をちょっと上ったところにあります)。


金華山の鹿


金華山神社


金華山山頂への道

金華山を下山して、早速、船に乗って本土に戻ります。
帰りは、船の揺れは、行きほどひどくなかったです。
たぶん、波と同じ方向に進んでいたからだと思います。

鮎川港に戻って、また、うにいくら丼を食べました。
昨日から、こればっかり食べています。
でも、何度食べてもほんとにおいしい。


鮎川港でまた食べた、うにいくら丼

牡鹿半島から北へ向かいます。
雨はかなり強くなっているので、あまり観光というわけには行きません。
女川(おながわ)、気仙沼と経由して、唐桑半島に入ります。
唐桑半島には、巨釜・半蔵という、リアス式海岸が見られるので、 そこに行ってみます。

途中、岩井崎に寄って行きました。
ここには、潮吹岩というのがあります。
波が打ち寄せたときに、波が岩の隙間に入って、 その勢いで上に向かって潮が吹き上げるのです。
写真では、かなりショボいですが、高く吹き上げるときは、 これよりもっと高く吹き上げるらしいです。
ま、ここは、わざわざ行くほどのことはないです。

ここに並んでいる店に、「ふかひれラーメン」 というのがありました。
ふかひれは、気仙沼の名産なので、とても食べたかったのですが、 うにいくら丼を食べたばかりなので、食べられそうにありませんでした。
またどこかで食べるチャンスもあるかと思い、ここでは食べませんでした。
ちなみに1000円でした。
高いと思いますか? 安いと思いますか?


岩井崎

巨釜・半造

巨釜・半造とは、何でしょう。
とりあえず、読みは「おがま・はんぞう」です。
読みがわかったところで、「だからなんやねん」という感じですね。
結論から言うと、巨釜と半造を総称したものです。
どちらも、三陸海岸のリアス式彫刻の美しい海岸なのです。
ガイドブックには名前の由来も書いてあったりするのですが、怪しいです。
もうちょっと、わかりやすい名前を付けたほうがいいような気がします。
わたしは、はじめは、人の名前かな、とか思ってしまいましたから。

巨釜は、リアス彫刻と言うべき芸術品です。
波のしぶきと轟音が、心の汚れを洗い流してくれるように感じます。

巨釜が直球ならば、半造は変化球です。
岩の間に押し寄せた波が、岩井崎方式で吹き上げます。
しかし、岩井崎と違い、岩の背丈がメッチャ高いので、吹き上げた波の先端が、
岩間から覗くだけなのです。
そのときに、地響きがして、ドドーンという低い音が、なぜか遠くの方から聞こえてきます。
単なる岩の割れ目にしか見えません。
ときどき波が覗きます。
そして、地響きと、低い音が始終「遠くから」してきます。
半造とは、そういう場所です。
はじめ、「えらい霧が濃いな」と思っていました。
天気が悪くて、今まさに良くなりかけていたので、霧が出るのかな、と思ったのですが、実際は、始終、岩の割れ目の、見えないところで吹き上げている波の細かいしぶきが、辺りを漂っている、というわけでした。

ここは、わざわざ行く価値ありと思います。
天気が良くなりかけていたときに行ったのですが、景色はとてもきれいでした。
巨釜と半造は、とても近いので、歩いていくことも可能と思います。


巨釜


巨釜


巨釜


半造


半造


御崎キャンプ場

ほんとうはもう少し北上したかったのですが、 キャンプ地を探す時間を考えればタイムアップです。
ちょうど、巨釜・半造の近くに、御崎野営場というのがあるので、 そこの様子を見に行ってみることにしました。

御崎野営場ですが、ここはファミリーキャンパーが多いです。
様子を見に行ったとき、どうかな、と思ったけど、300円にひかれて、ここで泊まることにしました。
しかし、受付の人(唐桑町の方)も、すごくいい人だったので、好感度アップ!

受付を済ませて、適当なところにテントを張って、食料を調達に行きます。
昼に食べられなかった「ふかひれラーメン」を食べに行こうと思ったのですが、タッチの差で、閉まってたんだよねー。
御崎っていうのは、店が少ないので、選り好みを言ってるような場所じゃないの。
そんで、仕方ないから、外観から言うとイマイチっぽいけど、 1軒だけ営業している店に入って、ラーメンを注文しようとしたのです。
しかし、閉店の時刻が近くなっているらしくて、 ドンブリものしかダメ、って言われてしまいました。
おいおい、またドンブリものかよー。
ここのところ、うにいくら丼ばっかり食べてて、もうドンブリものは飽きてたし、この店で、おいしいものを食べられる気がしなかったので、もう、ここで食べないと、今夜、夕食にありつけそうもなかったので、 我慢して頼みました。
幸いながら、「海鮮丼」っていうやつが、飽きていない系統のドンブリで、しかも、いちばん安かったので、それを注文しました。
やっぱ、値段相応の味はしなかったです。

夕食は済ませて、あとはビールとお菓子を買ってキャンプ場に戻ります。
ファミリーキャンパーが多かったですが、単車乗りが一人だけ、たった一人だけいました。
彼に声をかけて、テントから引きずり出して(!)、ビールをやりながら話ししました。
すごくいいやつで、話していても楽しい。
年齢は10歳くらい離れているのに、それを感じさせないのです。

彼は、東北を北から南に進み、家に戻っている途中だということでした。
たしか、4,5日前に下北半島の薬研に居たということです。
薬研のキャンプ場に1週間くらいも滞在していたそうで、 そこの暮らしを聞くにつけ、わたしも行ってみたくなりました。
薬研には、ヌシのような人が居て、けっこう濃い世界を築いているというような話しを…。 (こういう書き方をすると、引く人がいるかも知れないけど、敢えて、そのように書いてみました)。
もともと薬研には行こうと思っていたけど、ますます行きたくなりました。

彼に聞いた話しで、興味をひかれたことはもうひとつあります。
それは、ねぶた祭りの話しです。
単車乗りが毎年青森に集まって、ねぶた祭りに参加するそうですね。
そういう話しを聞いて、もう、たまらん状態になりましたよ。
わたしの今回の旅は、都合により 8/6 からのスタートとなり、 残念ながらねぶた祭りには参加できませんでした。
来年は絶対出たいぞー。

あとは、北海道の話しですね。
わたしは今回は25日の予定で出てきたのですが、北海道に渡るつもりはありません。 東北を完璧に制覇したいと思ったからです。
今回、東北に出発するまでは、北海道への想いはほとんどなかったのですが、 東北に出てきて、いろんな人に会ってみると、 北海道への想いがだんだん大きくなってきます。

つづく