朝方、ちょっと寒かった。
トレーナーとか着込んだので、 寒くて大変、ってほどでもなかったのだけどね。
この季節は、シュラフは更に厚いものに変えたほうが良いですね。
目覚ましセットしてたのは5時頃だったのだが、この季節は、 この時刻には、外、まだ真っ暗である。
もうしばらく寝ようと思って、結局起きたのは6時半くらいだった。
それでもまだ、夜明けからあまり経っていないような雰囲気だったので、 ほんと、夜が長くなったものだ。
急いでテントを片付けて、出発の支度を始める。
下北山スポーツ公園を、7時に出発する。
R425 を十津川方面に進む。
昨日、明神池まで来たのだが、その道をもう一度通ることになる。
夜と朝は、受ける印象がまったく違う。
R425 を十津川に進んでいると、道路に不思議な落書きが現れた。
「あと 7km」から始まって、「6km」、「5km」と、 1km おきに、道路にラインが引っ張ってあって、「あと 3km もう少しネ!」 とか、 「あと 2km がんばって!」とか書いてある。
これを見て思い出したのは、四国の R439 で見た、 「コリトリ」である。
コリトリは、しっかりしたブルーの道路標識だったが、 こちらは単なる道の落書きなので、ちょっと違っている。
進むにつれて、何があるのかとても楽しみになるが、 コリトリのこともあるので、 あんまり期待できるようなものでもないような気もしてくるのだ。
結局、0km に相当する場所にあったのは…。
いやー、けっこう笑えました。
こういうのは遊び心があってよいですね。
「コリトリの謎」は、公開しませんでしたが、 今回のは答えも書いときましょうね。写真を載せておきますね。
R168 まで来て、「ここは来たことがあるっ」と思った。
かつて、通行止めのため、通行を諦めた経験があることを思い出した。
R168 を北上して、温泉地温泉に行ってみる。
まだ朝早かったので、たぶん、まだ営業していないだろうけど、 名前がいいので、ぜひ見に行っとこうと思った。
行ってみたら、やっぱり、まだ営業していなかったので、 写真だけ撮って帰る。
昨日の小処温泉よりも、こっちのほうが、ずっと秘湯って感じがする。
R168 を引き返し、今度は南下する。
十津川温泉まで走って行く。
十津川温泉にいで湯という共同浴場があって、安そうだったので、 行ってみる。
300円だった。温泉の入り口に、箱が置いてあって、300円入れて入る ことになる。なんだか、大らかな温泉だ。
ここは、誰もいなかったので、ゆっくり入れる。
温泉の温度が高いので、身体に効きそう。
温泉の出てくる蛇口に、長ーいホースが繋いであって、 それが風呂に浸かっているので、ホースが湯の中で泳ぐ。
温泉というのは、ときどき、気泡、 しかもかなり大きな気泡を含んで出てくるようなのだが、 そのときに、ホースが湯の中で浮かんできて、水面のところで、ボコッと音を立てるのがおかしい。
その後、上湯温泉、下湯温泉をチェックしに行く。
下湯温泉のあたりに、野猿というのがある。
これはひとり乗りで、座って、ロープをたぐり寄せるようにして進み、 対岸まで渡ることができるというシロモノである。
上湯温泉は、ほんと、ひなびた温泉というのが適当な温泉だった。
道路から河原に下りる階段があり、そこを下りると共同浴場になっている。
露天風呂も併設されていて、こちらは300円である。
河原の一部を石で囲っただけの露天風呂で、これはなかなか楽しそう。
ポンプが故障しているので、露天風呂はやってません、という表示があったのだが、ポンプが故障というよりも、やる気のなさ、みたいなのを感じた。
それがまた良いのかも知れない。
下湯温泉は、結局見つからななかった。
野猿の近くにある筈なのだが、共同浴場みたいなのも、 旅館みたいなのもみつからない。
十津川温泉の泉源というのがあって、 川底から温泉をポンプで汲み上げていると思われる施設があるだけである。
今は、なくなってしまったのかも知れない。
昴の郷というのも行ってみたが、 健康ランドの高級版みたいな印象を受けた。
これは、事勿れ主義のお父さんが、家族サービスに連れて行く、みたいな施設のような気がする。
「今度の週末、家族で温泉でもいこうか」、みたいな、そういうノリね。
そういうのを好む人も、世の中には多数存在しているのだろうが、 おれは厭だなあ。
十津川温泉エリアを攻めたあとは、熊野本宮大社に詣でた。
ここは相変わらずであった。
そのあと、湯の峰温泉に向かう。
湯の峰温泉は「つぼ湯」というのが有名で、 一度入ってみたいと思っていた。
つぼ湯は、同時に2人くらいしか入れないのであるが、 すでに誰かが入っているようだ。
しばらく様子をみてみることにする。
お寺の裏手に、古い道があるので歩いてみた。
本宮に抜ける道もある。
つまり、これは、熊野古道なのである。
ちょっと奥まで歩いて行ったら、湯の峰王子とか、祠とかある。
道の感じは、ヒジョーに良い。
しばらく、古い道をうろうろして、また戻ってきた。
つぼ湯に入ってみようと思い、公衆浴場まで行く。
つぼ湯は、あらかじめここでお金を払って入るのである。
聞いてみたら、いま、カップルが1組待っていて、その次になるけど、 いいか? ということだったので、待つことにした。
せっかく来たんだから、入らないと意味ないもんね。
(カップルというのは、おれ的には、死語だと思うんだけど、 どんなもんですかね)。
待ち時間を利用して、温泉玉子を作ることにする。
生たまごは10箇300円、5箇200円で売っていたのだが、2箇だけ売ってもらえないか、と言ってみたら、 100円でOKとのことだった。
この玉子は、昔、よくみかんが入って売られていた、赤いアミに入れて、 温泉筒という、湯の峰温泉の源泉(?)に浸けておく。
約15分でOKとのことである。
みんな温泉筒の筒端で、温泉玉子ができるのを待っている。
おれも早速、温泉筒に玉子を沈めてみる。
15分待つあいだに、茶屋(?)で待つ。
お寺の住職(?)が、店をやっているみたい。
待ちながら、住職に、熊野古道のことをたずねてみる。
赤木越、大日越があるということ。
おれのさっき行ったのは、正確には熊野古道ではないみたいだ。
脇道みたいなものなのだろう。
しばらく話しして、温泉玉子ができた頃を見計らって、 玉子を引き上げに行く。
つぼ湯には、おれの前のカップルはもう入ったみたいだけど、 出てくるには、もう少し時間がかかりそう。
ベンチに座り、できあがった温泉玉子を食べる。
しばらくするとカップルがつぼ湯から上がってきていた。
ふたりは、つぼ湯の囲いの外のベンチに座っていた。
女の子のほうは、濡れた髪の状態で、ベンチに座り、ストッキングをはいていた。
周りを気にしながら、スカートをちょっとめくり気味にして、ストッキングを上げていたのが色っぽくてすてき。
この子、めっちゃ可愛い女の子だった。
今度、おれがつぼ湯に入れる番である。
ほんとに小さくて、そして、白くにごった感じ。
一日に7回、色が変化するということなのだが、ほんとうだろうか。
こうやって、毎日、観光客が、 入れ替わり立ちかわりしているばかりなので、もう誰も確認することはできないかもね。
つぼ湯につかりながら、残りの1箇の温泉玉子を食べた。
なんだか優雅かも。
つぼ湯を出て、再び茶屋に戻る。
山かけうどんと、ビールを注文する。
ここの住職は、話し始めたら話し好きな人だ。
熊野古道の話とかいろいろした。
山かけうどんは、すごくヘルシーな感じを受けた。
温泉から上がったあとのビールは最高においしい。
茶屋を出て、熊野古道の赤城越のほうにちょっと行ってみる。
民家の側から、目立たない階段が伸びていて、 それが熊野古道の入り口である。
民家に近いところでは、ちょっといただけない感じだが、 少し奥に入ると、もうすっかり熊野古道である。
今日は夜に用があるので、18時頃には姫路に帰っておきたいので、 そろそろ湯の峰温泉を出発したい頃なので、熊野古道を歩くのは、ほんのわずかにしようとおもっていたのだが、 いちど踏み入れてしまうと、どんどんひき込まれてしまう。
足が勝手に奥へ奥へと進んでしまうのである。
熊野古道には、そういう魅力がある。
なんとか、足を戻すことに成功して、再び温泉街に戻ってきた。
名残り惜しみつつ、出発する。
R311 を田辺方面に向けて走る。
これはかつてウネウネ道だったはずなのだが、 最近、急ピッチで拡幅工事がされている。
和歌山の道も、こうやって生まれ変わっていくものなんだね。
拡幅工事が進んでいる割には、交通量はあまり多くないので、 けっこう飛ばせる。
旧国道とランデブーしながら走る。
旧国道を走っていれば、熊野古道との分岐などもあるのだろうけど、 新国道には、もちろんそういうものは一切ない。
ちょっと寂しくもあるが、地元の人の便利さを考えたら仕方ないのかな。
なるべく、古道とか、そういうものを大事にしながら、 開発をして欲しいなと思う。
中辺路町には、熊野古道の面影が残っているところが多そうだったので、 国道沿いの茶屋に寄って情報を仕入れる。
熊野古道のことを話したら、 店のおばちゃんと、客のおっちゃんがよく喋る。
新しい国道のことを、情緒がなくなって寂しいが、 便利さのことを考えたら仕方ない、と、さっきおれが考えていた通りの ことを言っていたのが印象的。
これから姫路まで帰ると言ったら、ほんと、いろいろ親切に教えてくれた。
コーヒーもすごくおいしいし、安かった。
(いまどき、豆から挽いて250円だった)。
古道へのアクセスは、ややこしそうだったので、 結局、古道に行くのは諦めて、まっすぐ帰ることにする。
ちょっと行ったら、もっと、もっと、 と時間が延び延びになってしまうことも目に見えてたし…。
R311 を田辺まで走り、R42 に入り、そのまま和歌山方面に走ることにする。
田辺市外では、道路工事のため、直接 R42 に入ることができなかった。
適当に走って、R42 まで出ることはできたのだが、この道は混んでるし、 ほんと厭な道だった。
R42 に入るときに、後ろからクラクションで止められた。
車の脇からすり抜けていたので、誰かが怒っているのかなと一瞬思って、 振り返ったら、すぐ後方に二輪車が…。
どこから来たの? とか、どこへ行くの? とか聞いてくるので、 地元の単車好きかなと思っていたが、どうやら違うらしい。
彼も旅をしている途中らしいのだ。
R42 に入ったところで停車してくれない? ということだったので、 その通りにする。
彼は50cc のバイクで日本一周をしているつわものだった。
家を出るまでは、川崎に住んでいたが、 会社をやめて、家を引き払って旅に出ているという。 なんだか、青森の薬研温泉のところで1週間滞在していただの、
どこそこで、台風のため、1週間も足止めを食ってしまっただの、 すごいことを言っている。北のほうは回ってきたはずなのに、 新潟の一部をまだ回っていなかったので、いまから新潟を目指すのだ、と言っていた。
彼は基本的に海沿いを走ることが好きらしい。
住所書いてくれ、ということなので、メモ帳に住所書いて、 そんで名刺も渡しておいた。
おれにも住所と名前を書いてもらった。
そこには、長崎県の住所が書かれていた。
今日は和歌山くらいまで走ってキャンプするということだった。
しばらく喋って別れる。
そこからおれは、R42 をひたすら北上する。
御坊から自動車専用道路に入ることができるのだが、 この道はすごく高いので、下道を走っていくことにした。
湯浅まできたときに、道路は混雑しているのに、2台前にパトカーがいて、すり抜けもできそうにないので、湯浅しょうゆを買いに寄ることにする。
徳利に入った800円のしょうゆを買う。
店にいたおっちゃんに、「兄ちゃん、まあお茶でも飲んでいけや」と お茶と紀州の梅をごちそうしてもらった。
どんどん勝手にしゃべっていくタイプのおっちゃんで、ひとりで喋って ひとりでウケている。
こっちもつられて笑ってしまう。
ほんと、おもろいおっちゃんだった。
海南から、阪和自動車道路に乗って、飛ばしていく。
それほど交通量は多くないので、けっこう飛ばせる。
140km/h くらいでいくと、どんどん大阪に近づいてゆく。
阪神高速の湾岸線に乗るために、関西空港の方向に分岐し、 りんくうタウンから湾岸線に乗る。
湾岸線はけっこう混んでいる。
混んでいると言っても、神戸あたりの混雑とは比較にならないが。
湾岸線から神戸線に乗り換える付近とか、ほんとに最悪だったもんね。
結局、姫路には19時半くらいになってしまった。
ま、それくらいはかかるものだろうね、普通は。
ということで、3日間とは言え、けっこういろんなことが起こって、楽しかった。
カメラは、今回はデジカメしか持って行かなかったけど、これで充分みたい。
合計 188枚も撮影した。
熊野古道は、また改めてじっくりと攻めたいと思う。