CREATE 1999/11/17

大台ヶ原ツーリング 第3日目
(1999/11/16 Tue)

朝起きて、7時半くらいに大台ヶ原に向けて出発する。夜が明けて、寒さも和らいでいる。しかし、走り出してみて、予想以上に寒いことが判った。国道から大台ヶ原ドライブウェイに入れば、寒さはより厳しくなる。グローブをしていても、手が切れるように痛い。体ももちろん寒い。ドライブウェイからの眺めは雄大で美しい。寒さと吹き付ける氷が、大台ヶ原の美しさにリアリティを出すようだ。

駐車場に着いた。寒さは一段と厳しくなっている。霰ような雹のようなものが、強風で吹き付けてくる。木々は樹氷になっていた。単車を停めて、食堂で月見うどんを食べた。身体が温まり、生き返ったようである。
ヒザの痛さが深刻だったため、大台ヶ原散策は20分程度で切り上げるつもりだった。荒天であり、奥深く入って歩けなくなったりしたら死んでしまうかも知れないからである。散策を始めて1分もしない内に、装備が甘すぎると思った。冷たい風が吹き付けるので耳が痛い。単車まで戻り、持っている全ての装備を着込み、再出発である。フードと帽子で顔を守る。そうしないと耳などがシモヤケになってしまうだろう。
原生林と倒木と湿地とコケと樹氷。それがわたしの大台ヶ原の第一印象。静かにそして力強く生きている大自然の力を感じる。大台ヶ原の散策路は、ループ状になっていて、ある一定以上歩けば、引き返すことなしに元の駐車場に戻ることができる。しかしそのためには4時間も歩かないといけないので、ヒザに不安をかかえるわたしには辛い条件だった。しかし、いつ引き返そうかと考えても、さらに奥に潜んでいるであろう素晴らしい風景を思うとどうしても引き返すタイミングを計れない。もうひとりの自分が進め進めと叫ぶ。足は勝手に動き出し、前へ前へと歩を進めていた。右ヒザを痛めているため、右足に負担がかならないように進むことになる。

原生林とコケ
原生林とコケ
倒木
倒木

大蛇?(だいじゃぐら)。それがこのコースでもっとも素晴らしい筈であろう場所である。自分の進む先にそういう場所があると知っていながら引き返すのは、敗北感が強い。どうしても大蛇?を見てみたいと思う。道程は苦しみはなく、楽しみだけだ。木々や岩やコケなどのすべてがわたしを楽しませてくれる。そしていつしか大蛇?まで来ていた。大蛇?は絶壁に張り出した大岩である。大岩から眼下に見下ろす世界は壮大である。今日は風が強いので、とても大岩の先端まで行けない。それでも大満足である。

断崖と樹氷
断崖と樹氷
大蛇?
大蛇?

大蛇?までの往路は西大台、大蛇?からの岐路は東大台というのだが、東大台は西大台にくらべて、散策路が整備されていてアップダウンが少なく歩きやすい。中道という、東西大台の真中に平坦なショートカットがあり、ヒザの状態によってはここを戻ろうかと思ったが、これを頼ることなく歩けそうだった。東大台には、日出ヶ岳という大台ヶ原の最高峰と言われている山もあるため、ここを通って行けることを嬉しく思う。
日出ヶ岳はとにかく強風で、特に展望台に上る階段では、手すりをしっかり握りながら上らなければあっという間に階段の下に転落である。
日出ヶ岳を過ぎればあとはほとんど上りはない。歩きやすい道だから風景を楽しむ余裕ができる。まだまだ油断は禁物だが、安心感がある。

岩壁とコケ
断崖と樹氷
根

駐車場を出発して5時間後、元の場所に戻ってこられた。相変わらず寒いのだが、寒さに親しんだ後の寒さはまた印象が違う。なぜか戻ってきてからビジターセンターに行く。山に入るときは入山届を出して入ってくださいとの但し書きがあり、苦笑いする。出発のときに月見うどんを食べた食堂に再度訪れて、今度は山菜そばを食べた。そろそろ帰るとしよう。

駐車場に戻って身支度をはじめる。ヘルメットが凍っていた。単車の後ろにくくりつけていた2リットルのペットボトルの中身が凍っている。このぶんだと単車もやばいかな。身支度を終えてエンジンをかけてみるもかからず。当然バッテリーもすぐに動かなくなってしまう。そばを食べた食堂に行って湯をもらい、シリンダーに浴びせる。食堂にいたお兄さんもバケツで手伝ってくれる。温まってきたところで押しがけ。一発点火だ。お兄さんも喜んでくれた。礼を言って、エンジンが止まらない内にスタートした。国道までは慎重に暖めながら下る。ブレーキフルードも凍っているようで、はじめブレーキが効かなかった。エンジンが何度か止まりそうになりながらも、国道まで無事たどり着くことができた。

凍りメット
凍りメット
凍りペット
凍りペット

下北山村に戻り、昨年の秋ミネラルウォーターを呉れた柿の葉寿司屋でおみやげを買って帰ろうと思ったのだが、今日は定休日だった。残念。

全行程マップ