CREATE 2002/9/29

熊野古道 (2) (2002/9/15)


切目王子〜中山王子

五体王子の切目王子は、国道42号を少し入ったところにある。
切目王子の前には、細い道があり、これが熊野古道のようだ。なんて言うのかな、古道のニオイというか、そういうのがある。


切目神社の前の道
ここから中山王子へ続く…はず


切目神社の「清水井戸」という立看板の矢印に従って進むとこんなものがあった

神社の前の道は、中山王子に続くと思われた。この付近の生活道路として使われているようで、単車で走ってゆくことも可能だ。
集落を抜けて、川にぶつかったが、そのまま橋を渡ると、鉄道にぶつかる。歩いて通るのがやっとのガードあった。このすぐ近くに、切目駅がある。

おれは単車でこのガードを通り抜ける。遊園地のアトラクションのようで楽しい。


切目駅の近くのガード

ガードをくぐったところに、光明寺という寺がある。ここには忠魂碑とか、水子地蔵が何百体もあって、よくわからない。すぐに立ち去る。

中山王子への道のりは、大きな道路ができたりして、失われている箇所が多い。その大きな道の脇に、中山王子の案内板があった。コンクリートで固められた急坂があり、これを登っていく。みるみる高度を増してゆき、そのまま少し進むと中山王子神社があった。写真で見ると、立派な構えの神社ですが、この前に通っている道は、狭くてほとんど誰も通らないような山道です。


中山王子神社

けっこう立派な神社で、雰囲気も良い。「足の宮神社」を合祀してある。由来を書いた看板をデジカメに収めてきたのだが、読めなかったので、代わりにここも見てください。


中山王子〜岩代王子

中山王子の前の山道は、更に続いていた。
当然、これを進んでゆけば岩代王子に続くものと思ったが、なかなかそうは甘くないようです。
だんだん道が荒れてきます。それでもどんどん進みます。 気分は熊野古道ですから…。

ここから榎木峠に向かうのですが、中山王子は、以前はこの峠を越えた東側にあったらしいです。


中山王子から榎木峠方面に進んでゆく

どんどん山奥に入ってゆきます。山伏のホラ貝の音が聴こえてきそうです。
単車で走るのが困難になってきます。戻れなくなるとアレですから、単車を下りて歩いて進むことにします。この雑草、写真で見ると大したことなさそうだけど、実際スゴイんです。歩くのも困難になってきました。
やっぱ引き返すことにします。明日までに熊野本宮大社に到着しないといけないんで…。


こりゃちょっと進めそうにない
この先、歩くのも困難だった

山道を歩いていると、やはり幻聴ではなかった。ホラ貝の音が聴こえていますよ。
一体誰が吹いてるんでしょうねぇ。
谷を巻き込むように歩いているので、目前には落ちるような急谷が広がっている。そりゃ、もう「山奥っ!」って感じの場所なんですけどね、山と山の切れ目から、海が見えました。信州にはこんな場所はないだろうと思う。


榎木峠はホラ貝の音が聞こえてくるよな山奥なのに、山の間から海が見えた

岩代王子

榎木峠越えはあきらめて、元の道に引き返してきました。
国道42号沿いを東に走りながら岩代王子を探すことにします。

案内板などを注意深く見つけながら走っているつもりですが、どうしても見落としてしまいます。
見落とすというか、無いのですから仕方がありませんが。

で、東に走っていたのですが、岩代王子を通り過ぎて、千里王子まで来てしまいました。ダメだー。

引き返して、案内板をもう一度探してみるのですが、ありません。
仕方がないので、道から外れて岩代駅があったので、そちらに進んでみました。
駅の近くに、岩代王子の案内板が小さくありました。

鉄道の踏切を渡ってすぐに海岸がありました。
岩代王子は、海岸の脇にありました。
山奥の王子の次の王子が海岸にあるなんて、熊野古道って、なんて不思議な道なんでしょうか…。

岩代王子は祠だけがあるような小さな王子で、海岸もきれいじゃないし、これじゃ案内板も充実する気にはならないなあ、と思います。次の千里王子も海岸の王子らしいので、こっちに期待します。


岩代王子はこの海岸のすぐ脇にある
あまりきれいな海岸ではない


岩代王子(いわしろおうじ)
祠があるだけ


海岸から岩代王子を見た
道から海岸へ出るところにある


千里王子

さっきは、岩代王子を通過して千里王子のところまで行ってしまっていたので、戻ってきて懐かしい感じ(?)がします。

国道42号のところに、千里王子の看板があったのですが、ここから海岸方面にしばらく走りました。道路がウネウネと曲がっていて、見通しが良いので、単車で走るのがとても楽しいです。

道路の終点には、とても大きな駐車場があった。
…しかし、停まっている車はとても少なかった。
ここに単車を停めて、歩いて海岸へ向かう。

それにしても、ここ、なんか様子が変だ。
木立ちの中を海岸へ下りる階段が、石畳のように妙にきれいに作ってあったし、木の手すりも、あまりにも立派なのです。
進んでゆくと、「舞鶴亭」、「亀遊亭」、「松籟亭」、「夾竹亭」、「紅梅亭」、「梵音閣」などの怪しい建物が並んでいました。


怪しげな宿泊施設らしき建物
引き戸に張り紙がしてあるのが夾竹亭

夾竹亭の引き戸には、名前と宿泊期間のような文字の書いた張り紙があったので、時代錯誤の宿泊施設のようです。おれがその前を通りがかったときに、その借主と思われる人が、カギをかけて外出しようとしているところでした。見た感じ、時代錯誤な人ではなかったので、こんな施設だとは知らずに予約を取って、いざ来てみたら、こんななのでびっくりした、というような感じでした。お互いにバツが悪いというか、なんというか…。

夾竹亭以外には張り紙がなかったので、本日の宿泊予定は、夾竹亭の1部屋のみなんでしょうね〜。

そのすぐ先には、千里観音というのがありました。一瞬、これが千里王子なのかな、と思ったのですが、そうではなさそうです。寺のようで、寺でもなさそうだし…。

千里観音のところに立看板があり、それによると…。

千里観世音の縁起
今を去る千二百有余年の昔、桓武天皇の…(以下省略。なんかすごいことが書いてある)。
(で、ここから先が面白い)
明治七年 神仏分離の命により 観世音を現在地に移したが 大正九年より長岡佐介翁が千里全山を開き 本堂、太子堂、事務所、宿泊施設等を建立 今日の千里遊園地を完成された。 現在 千里観世音は 近西国三十三か所観音霊場の一つである。
御詠歌
有難や導き給う観世音 千里の浜で研く我が身を

うーむ。ここは千里遊園地というものだったのですね。

ここからさらに進むと、「シャワー室」と書かれた怪しげな建物もあった。シャワー室まで完備しているとは、千里遊園地、侮りがたし…。長岡佐介、侮りがたし…。


千里観音

宿泊施設の事務所(?)
ひょっとしたら、食堂かも…


千里観音〜海岸に下りる道
これを下り切ったところに海岸と千里王子がある
写真は下から上を振り返って撮影

ようやく海岸まで下りてきた。
ここは岩代と違ってとてもきれいだ。

海岸の脇に、ようやく千里王子発見。


千里王子(せんりおうじ)

千里海岸
ここはきれいな海岸でした


海岸から千里王子を見る

三鍋王子

千里王子の次の王子は三鍋王子(みなべおうじ)である。
三鍋王子は、南部町(みなべちょう)にある。
南部町は、紀州南高梅で有名なところです。町じゅう梅干屋しかないと言っても過言ではないほど、梅干屋が多い。(このことは、帰り道で思い知らされることなる)。

三鍋王子は、南部町の外れにあるので、見つけづらいとは思っていたが、やはり見つけにくかった。
駅や商店街を単車で走り回って、しかし、三鍋王子を見つけたのは、本当に偶然だった。


三鍋王子(みなべおうじ)

三鍋王子

三鍋王子は、現在は鹿島神社に合祀されていると本に書いてあったので、鹿島神社にも行ってみたのですが、そのような様子はなかったです。

三鍋王子神社の方に、立派な祠があるので、これでいいんじゃないかと思います。


芳養王子

芳養王子(はやおうじ)は、別名大神社(おおじんじゃ)というようです。
芳養駅に行けば手がかりが得られるかと思って行ってみたのですが、得られませんでした。ここから近いはずなので、適当に当たってみるよりありません。ガイドブックの位置情報を手がかりにして、ウロウロしていると、意外とあっさり見つかりました。


芳養王子(大神社)

芳養王子

今日の宿泊はテントの予定なので、そろそろキャンプ地を探さなければならない。王子巡りを中断して、海岸に向かうことにする。


道の駅志原海岸

芳養王子は田辺市の西の方にある。ここからは白浜町が近い。
白浜町というくらいだから、海岸は砂浜だろう。しかもきれいな砂浜を期待できそう(!?)。
国道から県道33に入り白浜町入り。白浜温泉近くはリゾート地なので、キャンプするには不適だろうと思い、南白浜に行ってみた。
浜に出てみたら、キャンプ禁止と書いてある。うーん。
最近は、マナーの悪いのが多いから、キャンプ禁止も珍しくない。

無理やりキャンプするのは本意ではないので、近くにおばあちゃんたちがかたまって喋っていたので、聞いてみた。キャンプできそうなところはないですか〜。でも、あまりよく知らないようだった。
役員の人に聞いてみてやろうか、と言ってくれていたが、許可が得られるかどうかわからないし、そうしているうちに日が暮れてしまうのが一番困るので、辞退した。
「椿温泉の方に行ってみたら、なんかあるんじゃないか」ということだったので、そちらに進んでみることにした。

椿温泉方面に進んでみたら、浜ではなく岩場が多かったので、キャンプは無理そうだった。ここは諦めることにする。
更に少し進むと、「道の駅志原海岸」というのがあったので、寄ってみる。
案内板を見ると、キャンプ場があるとのことなので、ここで情報を集めることにする。

近くにおじさんが居たので聞いてみたが、「その辺どこでもテント張れるんじゃないか」と言う。ここは道から近いので、音がうるさいかなという心配がある。
そのうち、ライダーが入ってきたので、おじさんと別れて、ライダーに聞いてみた。

そのライダー、野宿専門でテントを張らないという。だから、屋根のある場所を探しているんだ、と言う。
とりあえず、次の「道の駅」まで様子を見に行く、ということだった。

このライダー、テント持ってるのに張らなのだそうだ。撤収するのが面倒くさいから、ということだった。彼は学生で、テントも借り物だから、古くて、今のものみたいなつながったポールのものではないんだ、ということだった。

本州と九州と四国を1周してきたよ、と言っていた。茨城から来ていて、もう20日目なのだそうだ。

しばらくそのライダーと喋ったあと、別れる。屋根がないと宿泊できないというのは辛いなあ…。

その後、この施設をグルッと回ってみた。ちょっと奥に入ったところに、すごくいいキャンプサイトがあった。道との間に、音を遮断するように林があるし、下が芝生になっているので、テントを張るにはこれ以上のところはない。ところどころ焚き火で焦げているところがあるが…。

そんなことを考えていたら、はじめに話をしたおじさんがやってきたので、ここでテント張ることにします、と報告。


今日のキャンプサイト
道の駅志原海岸

今回、新しいテントを初めて使う。
前のテントは、老朽化して組み立てにくくなったので、ずっと欲しかったシェラデザインズのテントを購入したからです。
シェラのテントは、ポールレイアウトに特徴があります。独特のレイアウトで、広い空間を生み出しているのです。ポールにフックを掛けるタイプなので、組み立て易いというメリットもあります。そして、何より、カッコイイです。

マットは、3年ほど前から、カスケードデザインズサーマレストウルトラライトになっているし、今回から、もうひとつ新たなものを持ってきています。空気枕です。以前はタオル2枚で枕の代用をしていたのですが、やっぱ枕があるといいです。以前は寝違えたりすることも多かったですが、枕があると、首への負担が違います。


美しいポールレイアウト

フライシートをかけたところ

さて、夕食ですが、今回も自炊はしませんので、今から買い出しに出かけます。
驚いたことに、単車で5分ほどのところに、深夜0時まで営業しているスーパーマーケットがありました。これはいい。
今日は握り寿司とミンチカツ、から揚げ、という豪勢な夕食です。
もちろんビール(発泡酒)もあります。


本日のディナー

ディナーのあと、テントから出て、海のそばに座って、ビールを飲みながらガイドブックを読んでいました。明日の予定を考えるためです。

このキャンプ場は、外灯が点くので、明るいし、虫が寄ってこないので、外で本が読める。ほんとうに過ごしやすいキャンプ場です。

そうそう、今回は、靴以外に、サンダルを持参したので、それも過ごしやすい理由。短いツーリングなので、贅沢品をいろいろ持ってくることができました。
ノートパソコンは、持ってくるかどうか迷ったのだけど、結局持ってこなかった。

ガイドブックを読んでいたら、ここで最初に話をしたおじさん(以下、ピンクのおじさん)がやってきた。
ピンクのおじさんは、車で来ていて、自炊するということだったから、自炊が一段落して散歩しているのだと思う。
ピンクのおじさんは、静岡から来たという。熊野古道も結構好きで、ときどきこちらに来るらしい。
おれが、先月北岳に登ったといったら、ピンクのおじさんも、お盆の直後に登ったらしい。

ピンクのおじさんは、自由人というべき人で、いろいろ旅にでているそうで、いろいろと気が合って、長くしゃべっていた。

ピンクのおじさんとも別れて、そのあと、明日の計画を立てる。
明日は田辺あたりからスタートして、中辺路沿いに熊野本宮大社へ向かうことにする。

キャンプのときは通常、8時には眠ることが多いが、今回は外灯のお蔭で、秋の夜長を楽しむことができた。(と言っても、そんなに遅くまで起きていたわけではないが…)。

今日は結構気温が低めなので、夏用のテントだとちょっと寒いかもしれないと思っていたのだが、それでも暑いくらいだった。テント、シュラフ、マット、まくらの組み合わせは、最高の眠りを提供してくれた。

夜中の0時くらいに目が醒めたのだが、雨が降っていた。しかも、結構強く降っている。野宿のライダーはどうしているかな。まあ、すぐ止むだろうから心配していないが。

その後、何度か目が醒めたが、ずっと強く雨が降っていた。朝5時くらいにも強く降っていた。ヤバいなぁ。天気予報では明日の夜から降るということだったのに、どういうことやねん。
まあ、ええわ。もうちょっと寝ることにしよう。

つづく(のは夢と消えた)