CREATE 1999/10/05

東北ツーリング8日目 (1999/08/13 Fri)


松島

昨夜はかなり雨が降ると予想していたのに、それほど降りませんでした。
しかも、今日の出発の8時になって、本格的に雨が降り始めたのでした。
もし今日がテント泊だとしても、もっと早く出発していただろうから、 雨で撤収できないということはなかったと思われます。
今回の民宿がハズレだっただけに、キャンプにしておけば良かったなあ、と思います。

七ヶ浜の北側の海岸に多聞山という見晴台があります。
今日はここから観光開始することになります。
ここから松島に向かうことになるのだが、松島には、その眺めの良い場所として、松島四大観 というのがあって、多聞山も、その四大観のうちのひとつなのです。

雨は降ったり止んだりと安定しません。
観光地でもレインウェアを着ていないといけないのが辛いです。
多聞山の見晴台に上ってみたのですが、かつてはここから素晴らしい眺めがあったのでしょうが、今は目の前に木が生い茂り、ぜんぜん松島が見えません。
がっかりです。


多聞山からの風景は閉ざされているが、なんかいいかも

多聞山の駐車場には、ほとんど誰もいなかったのですが、 そのうち、1台の単車がやってきました。
新潟から来たというBMW乗りです。
お互い雨で大変だねー、というような話をして別れました。

多聞山から松島に向かう途中、四大観のうち、双観山、扇谷山にも行きました。
扇谷山 に上ったとき(単車で上れます)、土砂降りになりました。
リュックのファスナーから雨水がどんどん浸入しそうな勢いだったので、 雨宿りしたかったのですが、雨宿りする場所もありません。
単車から降りて、自らの身体でリュックをかばうしかありませんでした。
もう、観光どころではありません。
なんとか、水害を最小限にすることしか考えられませんでした。
頑張って耐えているうちに、ようやく雨が弱くなってきました。
…と言っても、まだかなり強いわけですが…。

9時頃に松島海岸に到着しました。ここの道路上で、朝会ったBMW乗りに再会しました。
お互い、また会いそうな気がした、と思っていたのでした。しかし、わたしが、とっとと道端に停車してしまったので、すぐにお別れになってしまいました。

松島海岸では、まず遊覧船に乗ることにしました。
雨はかなりおさまっていました。
遊覧船は、松島湾を一周するコースです。
確か、1380円だったかな。
けっこう人が多かったので、グリーン料金を払って、グリーン席に乗りました。
確か、400円だったかな。
グリーンは、2階ぜんぶそうなんですが、結局、グリーン席の人が多くて、あまり役に立たなかったです。
まあ、優雅な気持ちにはなれます。
1時間、ゆっくりと松島観光、ということになります。
松島ビールという地ビールを飲みながらの旅になりました。

遊覧船に乗ってしばらくしたら、また土砂降りになりました。
デッキで写真を撮るのも大変です。
あまり鮮明に撮れないし、新しいカメラが雨まみれになってしまう…。
カメラが雨まみれになっても、壊れなきゃいいのだけど、レンズに水滴が付くと、それが写ってしまうのですよねー。

わたしの席の近くには、おっちゃんとおばちゃんが6人連れくらいで座っていて、いろいろわたしに喋りかけてくるのですが、最初は嬉しく思うのだけど、余りにもずっと喋りかけてくるので、ちょっと鬱陶しくなる。
海の上でもちょっとはひとり旅の気分を味あわせてほしい。
だからしばしばデッキに写真を撮りに逃げていたけどね。

松島は、松尾芭蕉が「おくのほそ道」の旅のなかでも、 もっとも期待していた場所のひとつというだけあって、確かに風景はいいです。
ただ、どこがいいのかと問われれば、答えるのに窮します。
海に多くの小島が浮かんでおり、それぞれが緑の松の造形を誇っている。
ただそれだけのことですからね。
写真で見るだけでは、松島の素晴らしさはわからないでしょう。
松島というのは、超メジャーな観光地なので、観光客が多くて、あまり楽しめないかとも思ったのですが、マイナス面を補って余りある素晴らしさでした。
芭蕉の当時の松島を見たいな、と思いました。

今日は雨がかなり強いので、松島のすばらしさを存分には味わえなかったのではないかと思います。
写真もかなり枚数だけは撮ったのですが、いい写真がぜんぜん撮れませんでした。


松島四大観のひとつ扇谷山からの風景(土砂降り)


松島湾の遊覧船


遊覧船からの風景(土砂降りなので写真ではイマイチ)

遊覧船を降りてから、五大堂に行きます。
橋とか、島とか、狭いので、人が多いと自分のペースで観光できないので辛いです。
ここも松尾芭蕉の頃に来たいですね。


五大堂


五大堂

五大堂の次は、福浦島に行きます。
ここは福浦橋という、かなり長い橋を渡って、歩いていきます。
福浦島というのは、かなり大きな島で、それ自体がひとつの観光地みたいな感じです。
島の一番奥には、福浦弁天というのが祀ってあります。
芭蕉の頃にはこの橋はなかったはずですが、船で行っているかも知れません。


福浦島と福浦橋


福浦島と福浦橋


福浦弁天

福浦島のあと、ようやく瑞巌寺です。
ここは、拝観料が700円もするので高いですが、それなりに納得できます。
松島と言えば、瑞巌寺も行っておかないと、というのもあります。
瑞巌寺の横には円通院というのもあって、こっちも行きたかったのですが、 瑞巌寺で700円、円通院もかなり高かったので、どっちかひとつ、ということで円通院は却下されてしまいました。


瑞巌寺


瑞巌寺

というわけで、松島海岸にはかなり長居をしました。
ここまでずっと、歩いて回れるのです。

そろそろ先に進もうかなということで、 観瀾亭松島博物館には行きませんでした。
松島には、いずれまた来るでしょう。
ここは良かったです。


石巻

昼食(というのは時刻が遅かったが…)に、海の幸でも食べようかなと思って、 石巻の漁港の近くの「海鮮いちば」に行きました。
ここにはレストランが併設されていて、新鮮な海の幸が食べられるのです。
ミニ丼セットの、うに+いくら丼を食べました。 けっこうおいしいです。
安くはないですね。まあ、こんなもんなのでしょうか。
ところで、松島から石巻に行く途中で、また大雨が降り始めました。
ほんと困ります。


石巻で食べたミニ丼セット(うに+いくら丼)

今日は雨が相当強くなりそうだったというのと、 昨日、民宿でおいしい海の幸を食べられなかったので、今日も民宿に泊まることにします。
牡鹿半島のあんべ荘ということろを予約しました。
この付近の民宿は、数は多いのですが、休んでいるところが多いです。


牡鹿 民宿あんべ荘

相変わらず雨が強いので、牡鹿半島に向かいます。
牡鹿半島は、「おしかはんとう」です。
「おがはんとう」と間違いやすいですが、「おがはんとう」と読むのは、秋田県の男鹿半島のほうですね。
でも、ひょっとして、間違いやすいと思っているのは私だけですか?
そう言えば、北海道の、「納沙布岬」と「野寒布岬」も間違いやすいです(よね?)。
前者は「のさっぷみさき」で、後者は「のしゃっぷみさき」です。
そういうわけで、牡鹿半島に入りました。 この牡鹿半島の中では鮎川がいちばん栄えているところなのですが、 わたしの宿泊地は、新山です。新山というのは、半島のけっこう外れに位置しているので、民宿の質的に心配ではありますが、これもチャレンジです。

民宿に行く前に、鮎川港に寄って行きました。
牡鹿半島の近くに、金華山(きんかさん)という島があり、ここは霊力の強いところだというので興味を持っています。
島なのに「金華山」とは、不思議な島です。
金華山に行くには、鮎川港から船に乗っていくのですが、その運行時間を見てきました。
今日はもう運行が終わっていました。
明日は8時から30分おきに運行しているということでした。
普段はもっと本数は少ないのですが、 お盆だということで、本数を増やしているようですね。

ところで、金華山行きの船の時間を調べていたら、1台の単車が近づいてきました。

近づいてきて、すぐにわかりました。 昨日、多聞山、松島海岸で会った、あのBMW乗りです。
また会いそうだと思っていたら、本当にまた会ってしまいました。
彼も金華山に上ろうと思っているということでした。
明日、また会うかも知れません。
彼は今日は、御番所公園にテントを張るつもりだと言っていました。

そろそろ夕方なので、新山の民宿に行こうと思います。
鮎川から新山に直接抜ける道があるはずなのですが、 すぐに見つけられなかったので、 結局海沿いに遠回りして行くことにしました。
まあ、そんなに時間が余計にかかるということもないので…。

民宿に着いたら洗濯をしようかと思ったのですが、 わたしの部屋のある離れと、母屋が離れていて、洗濯機は母屋のほうにあったので、面倒になってやめてしまいました。
まあ、どうせ昨日、洗濯したばかりなので、あまり必要ないですから。

ここは部屋はけっこうボロいし、テレビが付いていません
すぐに、お風呂に入ったのですが、ここの風呂がまたひどかった。
狭いのはまあ、許せるとして、 いすがなくて座れないし、シャワーが壊れていて出ない
湯船の湯はきれいだったので、助かりましたが…。

食事まで時間がまだあったので、デジカメで撮った写真を見て楽しみました。
旅に出たりしなければ、あまり多くの写真を撮る機会はないので、今回のようなロングツーリングのときは、いっぱい撮るチャンスなのです。
撮ったものをなるべく早くチェックすることにより、自分の撮影方法を、より良く修正することが可能になります。
それで、撮影が上達するわけなんですねー。
そして、確かに、上達していると思えるところもあります。

食事の時刻になったので、母屋の方に行ってみました。
(なんとここは、各部屋に電話もついていません。
だから食事の時間になっても呼んでくれないのです)。
わたしの席はどこかなー、とか思っていると、 おじいちゃん(と言っても仕事現役のバリバリの人)の向かいの席でした。
なんか、やたらと話しかけてくるので、この人は一体なんなんだろうと思いながら、 喋っていたのですが、どうも、この家の主人のようなのです。
話の途中で、「もしかして、ここの方なんですか?」と聞いたら、 そうだよ、当たり前じゃないか、みたいな言い方をして、 家族で笑ってんだけど、普通、そんなの判んないよ。
それが当たり前だと思っている人には気付きにくいかも知れないとは思うけど…。
まあ、わたしの向かいに座っているのが、あんべ荘の主人だということが判って良かった。

で、食事ですが、ここは普通のところとかなり変わっています。
まずウニです。
生きているまま出てきました
殻の一部をクリ抜いて、中に(いわゆる)ウニが見えています。
これをスプーンですくって食べるのだそうです。
味が薄ければしょうゆをちょっと差せば良い、と。
殻の一部はクリ抜かれていますが、大部分は残っています。
当然、殻には、トゲがいっぱいあるのですが、なんと、そのトゲが、ウニョウニョ動いているのです。
生きているというイメージ湧かないです。
ウニというのは、普段われわれが食べる箇所は、内臓なのだそうです。
で、身体はどれかというと、殻とトゲ、それが身体なのだそうです。
だから、生きているとトゲが動くのですね。
気持ち悪いということは全然ありませんでした。
むしろ、新鮮でおいしいだろうなというのが容易に想像できて良いです。
そして、実際に、メッチャおいしかった。
今日、すぐ近くの海で、おじいちゃんが取ってきたということです。

次に刺身が5種類くらい出てきました。
普通は盛り方を工夫するとかありますよね。
でも、ここはぜんぜん無頓着です。
無頓着に乗っかっているので、あんまりいいものであるようには見えなかったのですが、 アワビとか、クジラとか、あと何だっけかな…。
まあとにかく、いいやつばっかりだったのです。
これも、ここのおじいちゃんが、今日取ってきたらしいです。

まあ、とにかく、そういう感じで、今まで見たこともないものも含めて、 いろいろたくさん出てきました。
あとから、「これはサービスだから」って、クジラのベーコンをいただきました。
これは、地元の人でもなかなか手に入らないようなシロモノだそうです。
食べものが多いので、ビールもどんどんいってしまいますねえ。
大ビンを3本も飲んでしまったような気がします。

そういう感じで、ずっとおじいちゃんと、その娘さんとか、お孫さんとか、 あと、いろんな人がいたので喋っていました。
どういう関係の人か最後まで判らなかった人も多くて、ほんと訳判らないですね。
楽しいですが。
特におじいちゃんとずっと喋っていたのですが、こういうところの漁師ですから、 言葉に訛りがキツくて、ますます訳わかんない状態でした。
まあ、楽しいですが。。。

シャワーとか、テレビとか、「住」に関するところはメチャクチャでしたが、「食」で取り戻したっていう感じですね。
今度東北に来たときには、また来たい、かなあ…。うーん。

つづく