CREATE 2002/8/14

北岳〜第2日目(2002/8/10)


出発

朝4時30分起床。朝食を食べて、5時に山荘を出発する予定。
昨日、車と一緒に甲府に下りてしまったヤマペンのことが気になりつつ、靴ひもを結んだりして準備を整える。

4人で、さあ出発だ、みたいな雰囲気になっていた時、ひょこっと現れたその人は…ヤマペンだった。
おおっ、見事なタイミングの到着ですね。
ヤマペンは3時に甲府駅を出発するバスに乗って、2時間かけて広河原までやって来たのだった。

めでたく5人揃って登山の開始です。
5時という時刻は、ここから登山する人たちにとってはメジャーな時刻のようで、人が多い。後ろから人がやってくるので、自分のペースがつかみにくく、邪魔にならないように一生懸命歩く。周りを見ている余裕なんてない。
しばらく行くと、人がややまばらになってくる。
速い人が後ろに来たら、タイミングよくやり過ごすことができるようになった。これでちょっと楽になった。


登山コース

今回おれたちが登ろうとしているのは「大樺沢コース」という。地図に赤く示したコースです。昨日、トラブルがなければ、白根御池小屋または肩の小屋に宿泊の予定だったのでした。
大樺沢コースは、雪渓のある沢沿いに登ってゆくコースで、展望がよく、とても良いコースです。
ガイドブックによると、大樺沢コースのコースタイムは、登り約6時間。

おれたち5人にも、速い人と遅い人があり、速い人には全然ついていけない。なんとか進んでいるものの、明らかに遅れているのが分かる。
出発して10分くらいで、もう差が付いている。
こりゃヤバイ。


登山開始はこんな風景
(今回の撮影も全部 Nikon Coolpix 950 です)

おれたちの登山のやり方は、自分のペースで登るということだ。
進む速度や、休憩の時間やタイミングもすべて、マイペース。
だから、一度差が付いてしまったら、頂上まで一度も出会わないことも多い。
誰かが途中でギブアップしても、先に行く人には、それがわからない。
そんなので、一緒に登山する意味があるの〜? ってなカンジなのです。
いやいや、もちろん意味ありますよ。
おれたち5人は、みんな個性が強く、人の言うことなんて基本的には聞きやしない。でもね、みんなさみしがり屋なんです(笑)。
そんなおれたち5人の登山っていうのは、こんなマイペース登山なのかな〜。
こういうやり方が一番楽しい。


余裕がないので風景が楽しめないぜ〜


後ろを振り返って1枚。
向こうに見えるのは鳳凰三山だと思う

で、登り始めて30分くらい経ったら、先頭の2人は姿が見えることがなくなった。
他の2人は休憩しているときに追いついたり、ときどき見かけるんだけどね。
まだ30分しか経っていないのに、めちゃしんどい。
なんかヤバそう。

左足小指の骨折だけど、テーピングで固定していて、鬱血しないようにしているので、意外と痛みは少ない。靴が当たる部分が微妙に痛いのだが、なんとかなりそう。だけど、指先を使うと痛いので、石に指先を引っ掛けるように歩きたいときなどはちょっと不便。

それにしても、この筋力のなさは何だ!?
骨折のせいで、ラスト1週間はまったくトレーニングが出来なかったので、不安ではあったが、そんなレベルの話しではないようです。
足が進んで行ってくれないのです。
肺と心臓は最初からヤバいと分かっていたので、ゆっくり行けば何とかなるとは思ったのですが、この筋力の衰えだと頂上はヤバいかも…と思ってしまいました。
まだ1時間程度登っただけで、このありさまなので、こりゃー参ったなあ、という感じです。


北岳〜日がだんだん昇ってきたぞー


けっこう険しい


北岳〜超キレイ


大樺沢


大樺沢〜北岳

ゆっくりゆっくり登り続ける。
心拍数が上がったらちょっとだけ休む。ほんの20秒くらい。
休憩しないと、一度心拍数が上がりすぎてしまったら、なかなか下がってこなくなってしまうから。
その時間を利用して写真を撮影するから、一石二鳥だ。

20秒程度より長い休憩は取らない。
身体が冷えてしまい、次に登れなくなってしまうから。
筋肉が冷えて動かなくなってしまうから。

休憩という休憩なしに、ゆっくり登り続ける。
だから、ゆっくりなりに進むのは進んでいる。
「うさぎとかめ」の話しを思い出した。
このゆっくりペースでも、歩き続ければ先頭に追いつくことがあるのではないだろうかと。
しかし、実際はそんなことがある訳はなかった…。

時々小休止の度に、今まで登ってきたところを振り返るのだが、ちょっとずつだけれども確実に進んでいるのがわかる。
それがとても嬉しい。
頂上がだんだん近づいてくるのもわかる。

20秒程度以上は休まないといいつつ、筋肉が疲労してくるのは止められないから、雪渓を横に見る展望のいい場所で、長めの休憩を取る。


雪渓の横の展望の良い場所で休憩


広河原方向を見る


北岳

登山開始から2時間強。
初めての休憩。
筋肉が機能を停止してゆくのがわかる。
でも、けっこう疲労しているので、ここらで休憩しないとダメみたい。
景色もいいしね。
水も補給する。風景のいい場所で飲む水はうまいです。

先頭の2人はどの辺りにいるのかな。
もうかなり先に行ってしまっているはず。
おれが休憩しようと到着した頃に、和尚が出発するという感じだった。
ヤマペンは、まだゆっくり休憩モード。

一緒に来た友だち以外の人も、同じペースで登っている人は、けっこう顔なじみになってきた。特に会話をするわけではないが、なんか仲間意識みたいなのが出てくる。

しばらく休憩して、再スタート。


広河原方向


北岳
なんかガスがかかって来たよ〜

再スタート直後、異変。
足が全然動かない。
筋肉が冷えて、思い通りに動いてくれない。
更にペースダウンを余儀なくされる。

筋力の限界が来ているのかな。
でも、まだ行程の半分も来てないんだけど〜。

しばらくペースダウンしてゆっくり歩いていたら、また筋肉が温まってきて、なんとか足は出るようになってきた。
ひとまず安心。

また休憩を取らずにひたすらゆっくりと登ってゆく。

すでに太陽がさしている。
太陽が昇るまでは涼しいだろうから、それまでに休憩なしでできるだけ登ってしまおう、と思って登っていた。
しかし、太陽が昇ってからは、風が出てきたのと、高度のせいで涼しい。いや、寒い。
だんだん汗をかく量も減ってきた。
頂上付近ではかなり風が強いらしいが、次第にガスが出始めている。
景観をさえぎることも多くなってきた。

歩き続けるうちに筋肉も温まってきて、また調子を取り戻してきた。
筋肉の疲労は次第に溜まってきているが、ペースを落としているため、疲れが増えてゆく度合いが少なくなってきている。
ただ、骨折した箇所がむくんできたので、どこかでテーピングを巻き直したいところだ。しかし、休憩を取ったら身体が冷えるので、また2時間後くらいになりそうだな。

つづく…