CREATE 1999/10/12

東北ツーリング12日目 (1999/08/17 Tue)


青森

酸ヶ湯キャンプ場を出発して、 八甲田山系の田茂萢岳(たもやちだけ)のロープウェイに向かいました。
本来なら、八甲田山と言えば、大岳に登るところなんでしょうが、八甲田山は、ほかの山よりも上りたい気持ちがそれほど高くなかったので、時間のかかる大岳はやめて、手軽に登れる田茂萢岳に登ろうと思ったのでした。

朝、キャンプ場で、「今日は天気がすごく良くなりそうだから、こんないいタイミングめったにないんだから、登ったらどうだ」と言われたので、ちょっと心が揺れたのですが、やはり大岳に登るのはやめておこうと思ったのでした。

ロープウェイの上り口に行ってみたら、ロープウェイは9時まで動かない、ということなので、先に青森に行くことにします。

青森では、ベイブリッジのところを散策してみます。
ベイブリッジの写真の向こう側に見えるのは、ラブリッジといい、歩いて渡れる橋なのです。
自転車で渡っている人もいました(ほんとはダメみたいなのですが…)。
ラブリッジとは、ラブとブリッジを引っ掛けたネーミングなんでしょうか。
フランス語の定冠詞ラと、英語のブリッジをくっ付けたものかも知れない…。

海には、八甲田丸が飾ってあります。
これは、かつての青函連絡船なのです。
青函連絡船と言えば、鉄道がそのまま乗り入れるという、とんでもないフェリーだったですよね。
八甲田丸にも、レールを模したようなものが付いてました。
ニセモノでしたけど。


青森ベイブリッジとラブリッジ


八甲田丸


八甲田丸


三内丸山遺跡

次に、三内丸山遺跡に行ってみることにします。
縄文時代の遺跡のなかでは、もっとも整備されたうちのひとつですよね。
東北には、縄文時代の遺跡は、けっこう多いみたいですけど、全国的に有名なのは、ここですね。

駐車場もちゃんと整備されているし、立派な施設もあるのに、無料でした。
整備されすぎていて、遺跡という気がしないです。
朝だというのに、想像以上に観光客が多いです。
縄文時代に思いを馳せるには、ちょっと適さないです。(元屋敷遺跡)三面遺跡群のほうが、だんぜん適してます。


三内丸山遺跡(祭事に使われたと推測される)


三内丸山遺跡(掘立柱建物)


三内丸山遺跡(竪穴式住居)


八甲田山(田茂萢岳)

青森、三内丸山遺跡を巡っているあいだに、田茂萢岳(たもやちだけ)ロープウェイの営業時間になりました。
戻りになるのですが、それほど遠くではありません。
青森の町は、朝から交通量が非常に多いので驚きます。

ロープウェイを上って驚いたのは、風が強いこと。
飛ばされるくらい強いです。
しかも雨も降ってきそうです。

ロープウェイの頂上では、90分くらいのハイキングコースがあります。
これを巡りました。
田茂萢岳の萢とは、湿地のことです。
名前のとおり、湿地帯が広がっています。
木でコースが組んであるので、歩きやすいです。
(田茂というのは、たぶん、人名でしょう)。

下りのとき、風はピークに達していました。
人がどんどん飛ばされています。
ロープウェイ、大丈夫なのかな、と心配になりましたが、意外にも、ぜんぜん大丈夫でした。


八甲田山


下北半島

またもや青森市街に出て、そこから下北半島に向かいます。
国道4号を青森湾沿いに北上します。
ほとんど停車せずに北へ向かいます。

むつも通過して、恐山に向かいました。
今日は、天気は決して良くなかったのですが、雨は降っていませんでした。
恐山に向かって進んでいたのですが、 名前の通り、恐ろしいところかなと思っていたのに、意外と平凡なところじゃん、 とか思って走っていたのです。

しかし、「恐山 4km」の表示が見えたとたん、突然土砂降りになりました。
わたしが平凡とか思ったので、恐山が怒ったのかも知れないですねー。
あと、たったの 4km だというのに、レインウェアを着ないとダメですねー。
あと、道路に大きな蛇が動いていたりして、 やっぱり、恐山は、とっても恐ろしいところでした。

恐山に着いたときには、17時30分だったのですが、ここは18時に閉山なのです。
急いでまわることになりそうです。
相変わらず、傘も飛びそうな強い雨でした。
恐山の受付の人が、「もうすぐ止みますよ」、と言っていました。
わたしは、口では「そうですかー」とか言ってみたのですが、内心「絶対に止まないよ」と思っていました。
(ほんとに、ぜんぜん止みませんでした)。

恐山というのは、小さな山と、宇曽利山湖、それ全体が恐山なのです。
そこらじゅうで温泉のようなものが噴出していて、蒸気もただよっていて、 怪しい雰囲気をかもしています。
霊力は、ほんとに強そうでした。

ここは絶対に行くべきです。
エネルギーを享受できます。沸騰しそうでした。


恐山(宇曽利山湖)


薬研

薬研。
みなさん、読めますか?
答えは「やげん」です。
今日は、薬研のキャンプ場に泊まります。

薬研は、この旅日記の9日目にも登場したのですが、憶えておられますか?
御崎のキャンプ場で泊まったときに、友だちになったライダーに聞いた、 ヌシのような人が多数住み着いていて、独特の濃いムードを持っているキャンプ場です。

管理棟で手続きをして、テントサイトでテントを張ります。
ここのテントサイトはメチャクチャ広くて、芝生の広場とか、森の中とか、バラエティに富んだ選択が可能です。
今日は雨が降っていたので、森の中の木の下に設営したのですが、ここの木が良く出来ていて、ほとんど雨が落ちてこないのです。
お陰で、雨にもかかわらず、余裕で設営できました。
テントサイトを探しているときに、弘前からきた、ハーレー乗りと知り合いになり、テントは、ハーレー乗りのとなりに張りました。

ところで、恐山から薬研に向かうときに、1台の 125cc の単車を抜いてきたのですが、 彼もここに来て、テントを張っていました。
彼は、芝生のスペースに張っていました。
彼は、愛知県の半田から来たそうです。
ちょっと話しをして、管理棟に遊びにいきます。

ここの管理棟は、奥がフリースペースになっていて、24時間開放されているので、自由に使って良いのです。
U字型に畳があって、U字の真中の土間にはテーブルが置いてあります。
したがって、畳に腰掛けて、掘り炬燵状態、っていうのが基本です。
(コンセントもタダで使わせてもらったので、 バッテリーの充電をすることができて嬉しいです。 あと、洗濯もできるみたいです)。

弁当を持って行って、濃い方々の仲間に入りました。
入ったばかりだと、話しの内容のほとんど良くわからないのですが、聞いているだけでも楽しくなってくるし、 みなさんもこれでけっこう気を使っているようですから、はじめにここに入っていく勇気さえあれば、誰でも問題なくここに加わることができます。
ま、なかなか勇気が要りますがね。

テントがとなりの、ハーレー乗りもここに遊びにきました。
彼は、ここに居る人たちと、面識があるようでした。

ここにいる人は、おたがい気軽にしゃべっているので、 わたしにはみんな「ヌシ」に思えたのですが、今日初めて来たという人もいて、ますますよくわからなくなります。
でも、そうだとわかってしまえば、居やすいです。

話しも盛り上がったところで、御崎キャンプ場で会った、T君の話しをしてみたら、「あ、T君知ってるの。いい人だよね」と、ますます盛り上がりました。
わたしがデジカメで撮ったT君の写真を見せたら、「あー、T君だ。元気にしてました?」 とか、T君ネタで、また盛り上がってしまいます。
更に、T君が、ここに居たときの写真を見せてもらったのですが、顔に思いっきり落書きをされて、原形をとどめないT君になっていました。
ヌシ氏曰く、「ここでは、先に寝ちゃうと、こういうことになってしまうんよ」ということでした。
「でも、自分のテントはちゃんと張って、寝るときはテントに戻れば、大丈夫」とも言っていました。
そう言えば、T君は、1週間も、ここに居たにもかかわらず、1回もテントを張らなかったと言っていましたねー。
うーむ、そういうことか。
いろんな意味で、ここのすごさを思い知らされます。
テントを張らなくても良いなんて、普通、あまり考えられませんもんね。

21時頃、「ところで、温泉入った?」と言われました。
「まだですけど」と答えたら、楽しいから入ってくれば、ということでした。
いろいろ笑える話もきいたので、行ってみたくなります。
「じゃ、入ってこようかな」と言い残して、出かけます。

テントサイトに戻って温泉セットを準備して、出発しようとしたのですが、 単車で出かけたのですが、ぬかるみに取られて、滑ってコケて、木に軽く激突して、右のバックミラーを壊してしまいました。
情けない。
でも、曲がっているだけのようだったので、直りそうです。
明日直してみます。
温泉は、ここから約1キロ進んだところにあるので、単車で行くほうがいいでしょう。

温泉というのは、薬研温泉「かっぱの湯」というところで、無料の露天風呂なのです。
何がいいのかよくわからないけど、とにかく人気が高くて、近くのホテルや温泉宿などからも、大勢の人が来るらしいです。
単車を停めて、暗闇を進んでいくと、薄暗い明かりのなかに階段が現れるので、 それを下っていきます。
けっこう広い岩風呂があり、数人が温泉につかっていました。
小さな白熱電球が1つあるだけなので、薄暗いです。
湯はけっこう汚なそうな気がするのですが、薄暗いので、ほとんどわかりません。
小学生が、ゴーグルをして泳いでいました。

この温泉は、混浴なのですが、わたしが行ったときには女性はだれもいませんでした。
東北の温泉は混浴が多いのですが、それは、たとえば、農業の人が夫婦で湯治に来るようなケースが基本なので、どうしても混浴にせざるを得ないという事情があるようです。
いままでの道中でも、混浴の温泉にもいくつか入ってきましたが、女性が入っていることはほとんど皆無でした。
入っていたとしても、おばあちゃんとか、そういう人ばっかりです。
「男風呂」というのとほとんど同義なわけです。
男女別の内風呂と併設されていることが多いので、 女性は内風呂のほうに行きますからね。

そういう雰囲気で、温泉を楽しんでいたのですが、しばらくして、キャンプ場で少し話しをした、 半田の大学生がやってきました。
彼はキャンプ場からここまで歩いて来たそうです。
そのとき、外人さんのカップルに道を尋ねられて、一緒に来たということです。
で、その外人さんのカップルも、温泉に入って来たのです。
カップルということは1人は女性なわけです。
普通は、女性が入ってくるときは、 バスタオルで思いっきりスマキ状態で入ってくるようですが、 この女性は前半分だけしか隠してませんでしたので、 後ろ半分丸見えです。まあ、あとは適当に想像してください。
スタイル抜群でした。
もっとも、それが見られるのは、 更衣室から温泉に入るまでの一瞬のことですが…。
そのとき、わたしと半田の学生さんは、話しが盛り上がっていたので、ごく当たり前のように、話し続けていたのですが、 他の男たちは緊張して、カタズでも飲んでたことでしょう。

半田の学生さんとは、かなり長い間話しをしていたのですが、この温泉は、かなりヌルイので、長時間でも全然平気です。
そろそろ戻ろうかなと思って、服着て、階段を上ろうとしたら、若い女性2人とすれ違いました。
もうちょっと長く居れば良かった (^^;;

キャンプ場に戻ったら、また宴会の続きです。
今度は室内ではなく、外です。
管理棟の横に、屋根つきの休憩場みたいなところがあって、そこでやりました。
虫が寄ってこないように電気を消しての宴会です。
暗闇での宴会は異様です。
あとで来た人は、加わるのに相当勇気が要るでしょう。
もっとも、暗いので、誰も宴会をしていることに気づきませんでした。
わたしが温泉から戻ってきたときは、まだ室内にいたのですが、 すでに外に出ていたら、わたしはこの宴会には加われなかったでしょう。

2時くらいまで飲んでしゃべっていたのですが、「明日出かけるんだったら、そろそろ寝たほうがいいよ」と言われて、テントに戻ることにしました。
わたし以外の人は連泊で、明日もここに泊まる人だったのです。
そのとき、「テントは張ってるの?」と聞かれました。
つまり、ここにいる人は、テントを張らないひとがけっこう多い、 ということなんです。
この言葉は、ここ薬研キャンプ場の性格をよく表わしていますよね。

…というわけで、寝ます。
雨はちょっと降ってます。

つづく