CREATE 1999/10/16

東北ツーリング13日目 (1999/08/18 Wed)


下北半島

昨夜は、けっこう雨が多く降ったようでした。
始終、雨音が聞こえていましたから。
まだ雨がやんでいないようでしたが、そろそろいい時刻になってきたので、 テントから外にでてみました。
雨はすでに止んでいるみたいでした。
木の下なので、木に溜まっている雨が落ちてきているのです。
もっとも、撤収に問題あるほどの雨ではありませんから、 やっぱ、この木は偉大です。

昨夜はかなり遅くまで飲んでいたので、今日の出発はけっこう遅くなり、8時半頃になってしまいました。
昨日、テントサイトから出すときにコケて曲がった単車の右ハンドル部は、あっけなく直りました。

今日は薬研から西の方面、仏ヶ浦に行く予定です。
佐井村へは、あすなろラインという林道が通っていて、 それを使えば近道なのですが、昨夜は雨がそうとう降ったので、 林道は避けたほうが良さそうです。
あすなろラインを通らないで佐井村へ抜けるには、一旦むつに戻って、 北側の海岸沿いを回っていかなければならないので、 距離的には3倍くらいの遠回りになってしまいます。
しかし、今日は回っていったほうが無難ではあります。

というわけで、むつ回りの道で進んでいたつもりだったのです。
しかし、何故か道を間違えて、気がつけばあすなろラインを進んでいました。
潜在意識が働きかけて、わたしをあすなろラインにイザナったとしか思えません。
こうなりゃ進むしかありませんや。

はじめのうちは、まだまともに走れたのですが、 途中から粘土質の土が撒かれている箇所が多くなってきました。
昨日の雨でぬかるんでいるので、怖くて仕方ありません。
ぬかるみは、ミュー(路面抵抗)が低いので、 一旦すべり始めると、すべりが止まらないから、コケる確率が高いのです。
でも、一旦進み始めた以上は、 最後まで走り抜きたいので、引き返したりはしません。
ゆっくりと走り続けました。
途中何度もツルッ、といってしまいますが、なんとか凌いでいます。
道のりはとても長く感じましたが、 なんとかコケずに佐井村にたどりつくことができました。
ここから仏ヶ浦に向かいます。

仏ヶ浦(ほとけがうら)は、奇岩がいっぱいあって、異様な光景でした。
こんなもの見たことありません。
東北は、こういうものすごいものがいっぱいあるので、奥が深いですね。


仏ヶ浦


仏ヶ浦

仏ヶ浦からは、北に引き返します。
佐井村から、海岸沿いに北に進路をとり、 いよいよ本州最北端の地、大間崎に到着です。
しかし、大間崎というのは、本州最北端であるということ以外、 ほんとに、どうってことのないところですね。

売店に、ホラ貝が置いてあったので、覗いていたら、 売店のオバちゃんに声をかけられました。
「最北端証明書あるよー」、だって。
うーん、証明書、そんなもん買ってどうすんでしょうねー。
完全に自己満足グッズですね。
値段は、500円くらいだったかな(忘れました)。

おみやげ屋は素通りして、食堂に行きます。
いくら丼1000円。これを食べました。
数日前は、うにとか食べまくっていたので、もう飽きていたのですが、 いくらなら食べられます。おいしいです。1000円というのは安いしね。
量もけっこう多かったので満足しました。
もうひとり、単車乗りが、ほぼ同時に店に入り、 何と、彼もいくら丼を注文していました。(だからどうやねん)


大間崎


店先にホラ貝がありました


尻屋崎

大間崎から進路を東にとります。
ここから尻屋崎方面に向かいます。
途中、下風呂温泉の共同浴場で風呂に入っていきます。240円でした。

尻屋崎までは、けっこう距離があったし、 雨も降っていたので楽しくないですねー。
途中、工事現場みたいな道路を、延々走らされて、 ダンプの巻き上げる土煙で憂鬱です。

ようやく尻屋崎に到着して、岬の先端に進みます。
途中、道路にゲートがポツンとあり、 ボタンを押したらゲートが開くようになっています。
まわりに何もないのにゲートだけがあるというのは異様な感じです。
5時までにはゲートから出るように、という注意書きがあり、 なんか怖いです。

ゲートから入って、道路を進んで行くのですが、その道路上に、ときどき大きなうんこが落ちています。
ここでは寒立馬が放牧されているので、 そいつらが、ここまで出てきて、していくのでしょう。
巧みに避けながら進むです。
雨が降っていて、うんこが溶けているため、完全には避けきれないです。
ここには車はあまり走っていないですが、 間違って車に追いついても近寄らないことですね。
車が液体化したうんこの上を走れば、タイヤで霧状にはね上げて、、、 …あとは想像するのは止めましょう。。。

尻屋崎は、まあ、どうってことないです。
岬の先端部は、灯台施設が独占しているため、イマイチ雰囲気が出ないです。
しかし、寒立馬が放牧されているのが面白い。
近くで見るとデカいです。
デカいのに、かわいい目をしているのがたまりません。
灯台施設の金網柵などが、 斜めのワイヤーで引っ張って固定されているのですが、 寒立馬たちは、それにカユい箇所をこすりつけて掻いているのです。
けっこう掻いている馬が多くて笑えます。
なかには、おしりが痒い馬がいて、間寛平みたいに「カイーの」をやっているので、メチャ笑えます。


尻屋崎


寒立馬


「カイーの」の図

尻屋崎は雨が降っていたので、イマイチ盛り上がれませんでした。
ここから南下します。
ここからは特に観光地がないのです。

道路を走っていると、ヒバの埋没林と、 左京沼、というのがあるという表示が出たので、それを見に行ってみます。
地図を見ても、ヒバの埋没林というのは載ってません。
この辺りは、開発が遅れているようで、地図にも白い箇所が目立ちます。
ヒバの埋没林の案内板を手がかりに、細い道をくねくねと進みました。
地図には、猿ヶ森が載っていますが、この近くです。
ヒバの埋没林って、何だろうと興味を持って進んだのですが、 古代にヒバ林が栄えていたのが、東の砂丘からの砂が、 ヒバ林を埋没させてしまった、と、そういうことみたいです。

猿ヶ森では、家が埋没していました。
もっとも、この家は砂で埋没したわけではなさそうでしたが…。

左京沼というのは、地図を見たら載っていますね。
道路から相当進まないと左京沼は拝めそうになかったし、もし、左京沼に到着しても、ごく普通の沼があるだけで、 ほかに何も期待できそうもなかったので、結局見ずに引き返しました。


ヒバの埋没林


家が埋没していました


横浜町

そんなことをしている内に、 今夜の宿泊を探さないといけない時間帯になってきました。
八戸、三沢まではちょっと遠いので、 もう少し近くでキャンプ場を探してみたのですが、 この辺りはキャンプ場が少ない。
東通村でコンビニエンスストアで、今夜の弁当を買い出ししていると、 ちょうど3人連れのライダーが居たので、キャンプ場情報を聞きました。

彼らは、昨日、横浜町、はまなす公園キャンプ場に泊まったそうです。
聞いた内容は、悪くなかったので、今日はそこに向かうことにしました。
ほんとうはもう少し南まで進みたかったのですが、 かなり南まで進まないと、 キャンプできるようなところがなさそうだったので、 諦めて、横浜町に泊まることにしました。

途中、六ヶ所村で、六ヶ所温泉というのがありました。
ここは、「日本一深い温泉」というのがウリみたいですね。
しかし、日本一深い温泉というのは、湯船が深いのか、 源泉を深いところから取っているのか、どちらなんでしょう。
まあ、どっちにしても、「だからどうやねん」としか思いませんが…。
それよりも、六ヶ所村で温泉なんか入ったら、被曝しそうで怖いですよね。


六ヶ所温泉

はまなす公園キャンプ場には、 先客がひとりだけいました。
もう少し、人数が多いと思っていたのですが、こんなに少ないとは意外でした。
かなり広いテントサイトで、なかなか良いです。

雨は上がっていたので助かります。
明日まで降りそうにない雰囲気だったのですが、油断はできません。
そろそろシーズンオフに近づいてきている証拠ですかね。
先客は、滋賀県草津市のバーテンダーでした。
例によって、9時半くらいまでしゃべって寝ます。

寝ようと思ってアラームをセットしようとしました。
時刻は10時です。
わたしは、携帯電話を目覚まし時計代わりに使用しているのですが、 携帯電話が見つからないのです。
携帯電話は入れるところが決まっていたのですが、 念のため、他のところも全部探したのですが、見つかりません。
アチャー、落としてしまったようです。
携帯電話というのは、落としたら、個人情報が流出するだけではなく、 勝手に好き放題使われて、メチャクチャな請求が来る、という危険があります。
あと、携帯電話にしか連絡先を記録していない人もあるかも知れないので、 なくしたら困ると思います。
うーん、よりによって、東北で落とすとは不幸です。

記憶をたどって、追跡することにしました。
走っていて落下させてしまったとは考えにくいので、 携帯電話を使った場所で落としたのではないかと予想しました。
最後に使った場所は、ビールを調達したコンビニのはずです。
夜中なのに、さっそく着替えて、単車で出かけます。
寝ようと思っていたのに、こんなことになるなんて…。
真っ暗なキャンプ場から出て行きます。
広い道路に出るまでは砂利道なので、気を使います。
なんでこんなことやってんだ、と何度も思いました。
気が気じゃないです。
思わずスピードを上げてしまいます。

ようやくコンビニに到着して、「あのー、携帯電話の落し物、届いてませんかー?」と聞いたら、 主人らしき人が、「あーーーー」と言って驚いていました。
「よくここだと判ったねー」、「明日の朝、警察に届けようと思っていたんだよー」などと言われました。
いやー、見つかって良かった。

わたしの携帯電話のバッテリーは、調子が悪くなったので、今使っているのはタダでもらったやつで、
ドラエモンのシールが貼ってあり、更に、「Call Me Soon 090-XXX-」と、前のオーナーの番号が貼って あるのですよねー。
コンビニのおっちゃんは、この番号に電話したらしいです。
電話の相手は、訳わかんない状態だったらしいですが…(当たり前)。

いやー、何はともあれ、見つかって良かった。

(ちなみに、次の日、滋賀のライダー氏は、 わたしが夜中に出かけたことには気づいていないようでした…)。

つづく