CREATE 1999/10/16

東北ツーリング18日目 (1999/08/23 Mon)


花巻

遠野の民宿を出たときは、雨は降っていなかったし、 降りそうな気配もありませんでした。
それなのに、出て10分もしないうちに雨が降り始めました。
呪われています。まったく。

今日は花巻に行って、宮沢賢治を研究してこようと思っています。
まず、宮沢賢治記念館に行きました。
ここは、みごとなバランスで宮沢賢治を紹介しています。
読むもの、見るものなどの配置が抜群なので、どんどん引き込まれていきます。
たっぷり時間をかけて見るのがいいと思います。
かけた時間以上のものが得られます。
わたしは宮沢賢治は、今までそれほど意識したことがありませんでした。
有名どころなら、童話もけっこう読みましたが、 今まで、ハマるということはなかったのです。
今回、ここで賢治のことを知れば、賢治にすごく興味をおぼえました。

記念館の近くには、宮沢賢治童話村、イーハトーブ館があります。
童話村は、まだすべて完成していないみたいです。
建物の中はファンタジックな空間になっていて、現実から引き離してくれます。
記念館を最初に行くのが良いでしょうね。

イーハトーブ館は、入場無料だけあって、ちょっとイマイチですが、 無料とは言ってもけっこうな内容になっています。(文章ヘンですが…)。
まあ、無料だから覗いてみてもいいのではないでしょうかねえ。
記念館、童話村、イーハトーブ館は歩いて回れます。


宮沢賢治記念館とイーハトーブ館の間の公園


宮沢賢治童話村


宮沢賢治イーハトーブ館の中にある実験道具
こんなのが10個くらいあって、自由に遊べます


山猫軒 (宮沢賢治記念館の横にあります。ほんとのレストランです)

次に、羅須地人協会、賢治の家、に行きました。
羅須地人協会とは、不気味な名前ですね。
どういう由来なんでしょうか。
賢治の家は、31歳から33歳まで賢治が住んでいた家を移設したものです。
羅須地人協会と、賢治の家は、花巻農業高校の敷地内にあり、 花巻農業高校が運営しているみたいです。
ところが、この花巻農業高校が統廃合の危機にさらされており、 羅須地人協会と、賢治の家の存続も危ぶまれています。
非常にもったいないと思います。
統廃合の反対運動をおこなっているようなので、宮沢賢治の好きな方も、 賢治が好きでなくても、文化財産を失うのが惜しいと思われる方は、花巻農業高校に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
賢治の家には、若い女性の観光客がひっきりなしに訪れています。 宮沢賢治の人気を思い知らされました。

賢治の家を見たあと、帰ろうかなと思っていたら、学校の先生らしき人が通りかかったので、お互い挨拶し、そのあとちょっと、おしゃべりしました。
花巻農業高校の統廃合の話しもしました。
あと、わたしが行ったときは、賢治の家は、中に入れるようになっていなかったのですが、カギを借りて、中に入ることができるらしいです。
花巻農業高校が管理しているらしいですから、みなさん、行かれるのであれば、カギを借りて中に入ってはいかがですか。
もっとも、いつもは、誰かが開けてくれているものらしいのですが…。


賢治の家

そのあと、イギリス海岸に行きました。
これは、イギリスの海岸に似ているので、賢治が命名した海岸です。
でも、これは海岸ではなくて、川岸です。
川岸に、石灰質っぽい浅い部分があり、鬼の洗濯板状態になっているらしいです。
わたしも行ってみたのですが、そんな変わった風景は見当たりませんでした。
しばらくして、地元の人が声をかけてきました。
「どこから来たんですか」と。
で、ちょっと話ししたあと、小さなアルバムを見せてくれました。
イギリス海岸が、イギリスの海岸みたいになっている(?)写真です。
現在は水量などの関係で、イギリス海岸は見えなくなっていて、 観光客がここに来ても、何がなんだか分からないことになってしまうので、せめて写真だけでも見てもらって、雰囲気を味わってもらおうと思って、 と言っていました。
いい人ですね。

ここ、イギリス海岸は、交通の便はあまり良くないと思うのですが、 賢治ファンらしき人(女性、しかも若い人ばかりです)は、ひっきりなしに訪れます。
先ほどの地元の人は、そのみんなに声をかけて、イギリス海岸を紹介しまくっていました。
若い女性相手だと、こういうボランティアも楽しいかも知れないです。
おいらもやろっかな (^^;;


賢治に関するところを探し歩いていたとき見つけた 「注文の多い売店」

そのあと、花巻駅に行ってみました。
特に目的があったわけではないのですが、何となく駅に行ってみました。
観光案内所があったので、わんこそばの食べられる店を尋ねてみました。
そしたら、今は、予約しないと、 嘉司屋(かじや)以外では食べられないということでした。
その嘉司屋ですが、15時から18時まで休憩になるのです。
現在時刻は14時35分くらいです。
ヤバイ。
急いで行けば間に合うかも知れない。
礼を言って嘉司屋に向かいます。

初めての土地なので、初めての場所に行くのは、結構迷うものです。
道が碁盤の目のようになっていればともかく、 だいたい、道は曲がっていることが多いです。
嘉司屋への地図はもらったのですが、初めてのところは縮尺がわからないので、 曲がるところがわかりにくい。
なかなか辿り着けないので焦って、余計に迷うのです。
何とか14時50分頃に嘉司屋に到着しました。
嘉司屋は、大通りから一筋裏に入ったところなので、見つけにくかったです。

嘉司屋の店先には、すでに準備中の札がかかっていて、 扉は閉ざされていました。
そこを無理矢理、中に入っていきました。
お願いして、OKしてもらいました。

「すいません、わんこそば食べたいんですけど、 どういう風に頼めばいいんですか?」 と聞いたら、「ああ、わんこそばは、わんこそば、って言うてもうたら、それでええんですわ」ということでした。

わんこそばというのは、みなさんご存知のように、お椀に次々とそばを入れてくれて、流し込むように食べるのです。
麺をゆでる人と、お椀に入れてくれる人の、2人が付きっきりでやってくれます。
塩辛とか、なめことか、いろんな具がついていて、 具を入れながら食べるのですが、食べているときも、次の麺を入れるのを横で待っているので、なんだか落ち着きません。
「ゆっくり食べてもいいんですよねー」と、念を押してからも、 やっぱり落ち着きません。
平均的には、男の人で30杯くらい食べるそうですが、 わたしは26杯でした。
けっこう腹いっぱい食べたと思います。
ちなみに、何杯食べたかというカウントは、マッチ棒で数えます。

ところで、嘉司屋の主人と旅のこととかいろいろ話していたのですが、この主人は、京都出身なのだそうです。
東北というのは、関西の香りがほとんどしない土地だという印象だったので、 関西の人と会うのは嬉しいですね。

わんこそばの元祖は、ここ花巻の嘉司屋なのですが、今は盛岡とかにすっかりお株を奪われた感があります。
システムも、花巻のものと、盛岡などのほかのところでは違っているそうです。
よく「最高500杯食べた」とかいう話を聞くのですが、花巻のシステムでは、500杯というのは、ないそうです。

とりあえず、今回は、元祖わんこそばを食べることができて満足です。
次回は、盛岡のわんこそばにも挑戦してみよう。


嘉司屋


夏油キャンプ場

夏油キャンプ場は、「げとうきゃんぷじょう」と読みます。
知らない人は、たぶん、誰も読めないでしょう。
今日はここでキャンプしようと思います。

誰かキャンプの連れがいたらいいのに、と思っていたのですが、 誰もいませんでした。
テントサイトに行くためには、 小さな沢の、水面に飛び出した石の上を渡って行かなければならず、 暗くなると面倒で、そして怖いです。
荷物を持っていると、滑りそうで怖いし。

テントサイトはとってもさびしいです。
テントサイトは、けっこう奥まであるのですが、奥は怖すぎます。
わたしはテントサイトの、道に最も近い辺りにテントを張るつもりです。
ちょっとだけ、奥のほうに行ってみたら、 ブルーシートで大きな小屋が作ってあり、 声をかけたりしたのですが、誰もいないようでした。
ホームレスかも知れないです。
こんなところでひとりでテントを張るの怖い。
ある意味、熊よりも怖いと思いました。


夏油キャンプ場 テントサイト

日が暮れるまで、まだ時間があったので、 夏油温泉に行ってみました。
ここには、無料の洞窟風呂があるということなので、 行ってみようと思ったのです。
山に向かって、しばらく歩いて行くと洞窟風呂が見つかりました。
ここには、誰もいませんでした。
洞窟の奥にあるのですが、光がぜんぜん届かないので、めちゃくちゃ怖いです。
昼間でこれですから、夜はちょっと怖すぎて入れないと思います。
怖いですが、勇気を出して入ってみました。

足元が見えないので、気持ち悪いです。
底無し沼みたいに、深くなっていたら、などと考えてしまいます。
(そういうことはありませんでしたが…)。
蒸気が狭い洞窟の中にコモっていて、サウナみたいです。
カメラのレンズも曇ってしまいます。

怖いので、ゆっくりすることもなしに、すぐに出てしまいました。
やっぱり、ひとりでは落ち着かなくてダメです。


夏油温泉 洞窟風呂

そんな感じで、夏油温泉をあとにして、キャンプ場に戻ります。
キャンプ場の駐車場のところに軽四のワンボックスが2台止まっていました。
その横で、酒を飲んでいる人が2人います。
わたしは、単車でソロソロと近づいていって、声をかけてみました。

「今日はここでキャンプですかー」とか何とか言ってみたのですが、 そのあと「この上のテントサイトにテント張ってるんです」と言ったら、「そうか、酒飲んでけ」、「トマト食べろ」とかいろいろ言ってくれました。
で、弁当とビールをテントから持ってきて、いっしょに食べたり飲んだりしました。

「よし、雨も降りそうだし、タープを張ろう」とか言い始めて、 真っ暗な中、3人でタープと苦戦しました。
「このタープ、使うの初めてなんだ」ということでした。
車で旅しているだけのことはあり、装備はいろいろ持っています。

この2人は、元々知り合いらしいです。
ひとりは62歳で、もうひとりは35歳くらいです。
62歳の方は、とても62歳には見えないようなすごい人でした。
もう6箇月くらい旅をしているということです。
35歳の方は、昨日まで多摩に居たらしいですが、 昨日、東北に来て、東北でレンタカーを借りて旅しているらしいです。
2人とも多摩の人らしいです。
たまたまこちらで連絡を取って、今日、いっしょに居るみたいです。
東北にやってきたのは「テキ屋のバイト」とか言っていました。
仕事と言いつつ、限りなく放浪に近いようだし、 でも、仕事は本当にしているらしいのです。
ほんとよくわかりません。

話しは、すごく盛り上がって、ほんとうに楽しかったです。
「強烈」というのがふさわしい2人でした。
2人が言うには、「おれだったら、あんなテントサイトには、1人では怖くてテントは張れない。あんたは勇気があるよ」ということでした。
まあそれは、わたしをオダテている、という意味合いが大きいでしょうが…。

今夜の宴は、メンツといい、ロケーションといい、雰囲気といい、話している内容といい、 ほんと、異様なものでした。
何度も「夢でも見ているのではないか」と思ったほどです。

夜もふけて、わたしは自分のテントに戻ったのですが、 2人は、まだ宴を続けるようでした。
明日、早く出発すると言っていましたが、パワーがすごいです。

夜は本格的な雨になりそうです。


夏油キャンプ場の駐車場にて

つづく