CREATE 1999/10/27

東北ツーリング23日目 (1999/08/28 Fri)


三崎

昨日は天気予報を聞いて、1日中土砂降りになるというので、 急遽、民宿に宿泊したのですが、結局、宿に泊まっている間は全然降りませんでした。
それなのに、宿を出発しようかというときになって、また土砂降りです。
どうにかしてくれ、という感じです。

前回、ふきのとうに泊まったとき、結局ビール代を取ってくれなかったのですが、 今回も、ビール代は要らないと言われました。
でも、今回は取ってもらわないとと思って、
「今度、来られなくなってしまうので、ちゃんと取ってください」
と言ったのですが、お姉さん、
「そうですかー。でも、それはそれ、これはこれなので、また来てくださいね」
と言って、またビール代を受け取りませんでした。
民宿のサービスはお金ではありませんが、 ここは設備もしっかりしているのはもちろん、サービスに愛情が感じられます。
また来たいと思うような宿って、そんなに多くないと思います。

土砂降りのなか、気合入れて出発しました。
酒田の町を通り抜けて、国道7号を北に向かいます。
遊佐町で国道7号が海岸沿いになります。
この辺りは、吹浦(ふくら)といい、芭蕉が1泊したところです。
ここに、十六羅漢があります。
十六羅漢は、幕末に彫られたものなので、芭蕉は見ていません。
十六羅漢の近くに、出羽二見(でわふたみ)というのもあり、南紀の二見浦のように、夫婦岩なのです。


十六羅漢

三崎公園は、海岸の美しい景色を眺めるには良いところです。
そして、芭蕉が象潟に向かったときに通った道が、 保存されている場所でもあります。
ここも、当時はかなり険しい道であったということです。
有耶無耶の関跡などもありました。

ひと通り三崎公園を見てまわったあと、海岸に向けて歩いているときに、 キャンプ場らしきところを通りました。
テントが一張りされています。
テントのところでゴソゴソしている人がいました。
なんと、昨日、一緒に川下りをしたH君ではないですか。
彼はまだ三崎を見て回っていない (つまり、まだどこへも行っていない)らしいです。
おくのほそ道の話しをしたら、彼も行ってみようと言っていました。
未だにテントを撤収していないので、聞いてみたら、 今日もここに泊まろうかどうしようか考えているらしいです。
ここにテントを張ったまま、象潟周辺を散策しようと考えているそうです。
それもいいかも知れないですね。
わたしは今日中に月山の近くまで行ってしまいたかったのですが、 天気の具合がよろしくないので、まだ宿泊地を決めていません。


おくのほそ道(三崎峠)


象潟

H君と別れて、象潟に向かいます。
象潟では、まず蚶満寺(かんまんじ)に行きました。
芭蕉は、蚶満寺には舟でやってきたらしいです。
象潟は、当時は松島のような海に浮かぶ島の集まりだったのですが、 この蚶満寺も、その島のひとつだった、ということです。
蚶満寺の参道は、現在は、踏み切りの方に向かっているのですが、 昔の参道は、別の方向に伸びています。
その先にあるのが、船着き場だったのではないかと思うのですが…。


蚶満寺仁王門

象潟は、かつては、このあたりは海で、 九十九島、八十八潟があったということです。
芭蕉の頃は、まだ海だったわけです。
文化元年の大地震で土地が隆起し、この辺りは陸地になりました。
現在は、九十九島、八十八潟の名残りと、その周りは田んぼになっています。
現在も、弁天島などという名前が付けられていて、 蚶満寺からハイキングコースのような感じで道がつけられています。
もちろん、島に上れるようになっているところもあります。

当時は、象潟は、松島と並ぶ景勝地として有名だったのですが、 今はぜんぜん有名ではありませんね。
松島には大勢の観光客がいましたが、象潟にはその百分の一も居ませんでした。
しかし、わたしは、象潟にはとても魅かれます。
松島よりも、象潟に数倍の魅力を感じます。
松島が陽ならば、象潟は陰ということになるかと思います。
内に秘めたエネルギーを発散しているのが読み取れます。
良く言えば、人気の松島、実力の象潟、ってとこでしょうか。

象潟橋のあたりは、芭蕉が宿泊した家など、いろいろあって、 ゆっくりと町を歩くのが楽しいです。
象潟橋というのは、鳥海山を眺めるベストポイントだった場所だそうです。
芭蕉もここから鳥海山を眺めたのでしょうか。(わたしが行ったときは、雨だったので、鳥海山は全く見えませんが…)。
芭蕉が宿泊を予定していた宿に、先客として女性が泊まっていたため、 そこには泊まれず、向かいの家に宿泊したとか、 いろいろエピソードがあって楽しいです。(看板が立てられていて、いろいろ書いてあるので嬉しい)。


象潟 九十九島


舟つなぎ石


象潟橋


鳥海山

象潟から鳥海ブルーラインを通って、鳥海山鉾立展望台に向かいます。
今日は朝からずっと雨で、鳥海山は全く見えないので、 行っても仕方なさそうなのですが、象潟観光も終えたので、 鳥海山に上ってみるしかなかったのです。
上ってみて、なにか楽しめれば、今回は鳥海山は諦めがつくと思っていました。

しかし、ブルーラインを上り始めたときから、雨が強くなってきて、 ぜんぜん進めなくなってしまいました。
農協の軒下で雨宿りしました。
雨宿りしながら、ずっと天気の行方を追っていたのですが、 まったく天気がよくなりそうもありません。
バケツをひっくり返したような雨が何度も押し寄せてくるのです。
こりゃ、鳥海山はアカンわ。

鳥海山を諦めたものの、この雨では戻るにも戻れません。
待つしかないかと待ってみたものの、雨はおさまりそうもありませんでした。
仕方ないので、土砂降りの中、出発しました。

これでは、予定の月山方面にも進むことはできません。
今日は、三崎キャンプ場に泊まるしかなさそうです。
三崎キャンプ場に、まだH君いるかな?

というわけで、三崎キャンプ場に戻りました。
H君はまだ居ました。
今日は、もう観光どころではありませんから、とっととテント張りましょう。

ちょうどうまい具合に雨がやんだので、ササッとテントを設営しました。
テント張る時間と、H君と一緒に弁当食べるくらいのあいだ、 雨は止んでいてくれて助かりました。
弁当を食べ終わった頃、また降ってきましたので、 2人それぞれのテントに戻ります。
もう寝るっきゃないでしょう。
靴は乾くだろうか?(乾くわけないが…)。


三崎キャンプ場

つづく